植物園の概要
但馬高原植物園は、自然保護をテーマとした自然植物園であり、その広大な17ヘクタールの敷地には、南方の植物の北限や北方の植物の南限、高山植物の低限、低地植物の高限といった多様な植生が存在します。特に湿原が形成されているエリアでは、日量5,000トンもの湧水が豊かな生態系を支えています。この植物園では、自生植物が2,000種類以上確認されており、さらに約300種類の植物が観察できます。
設立の背景
但馬高原植物園は、豊かな植生と湧水に恵まれた瀞川平に設立されました。この地域は、兵庫県観光百選で第1位に選ばれた美しい高原であり、氷ノ山後山那岐山国定公園にも指定されています。園内には、樹齢1,000年以上の「和池の大カツラ」をはじめとする自然のままの森林が広がり、その貴重な植生を保護するために植物園が設立されました。
園内の自然環境
標高680mに位置するこの植物園では、自然林がそのまま保護されているエリアと、人の手が加わったエリアがあり、自然を可能な限り活かしながら整備されています。園内には2つの池や湿地があり、トンボや野鳥などの多様な生物が生息しています。これにより、訪れる人々に豊かな自然体験を提供し、心を癒す場として親しまれています。
千年水と和池の大カツラ
千年水の湧水
但馬高原植物園内を流れる「千年水」は、日量5,000トンもの豊富な湧水を供給し、その清らかな水が植物園全体に命を吹き込んでいます。この湧水は、園のシンボルである「和池の大カツラ」の木が瀞川山から呼び寄せているとされ、古来より滔々と流れ続けています。夏でも水温が10度前後と冷たく、周囲の動植物や地域の生活にとって欠かせない存在となっています。
和池の大カツラの概要
和池の大カツラ(わちのおおカツラ)は、樹齢1,000年以上、樹高約39m、幹周約15mの巨木で、兵庫県指定天然記念物としてその存在が保護されています。この巨木は、標高700mの瀞川平に位置し、高坂川の源流となる湧水「千年水」が流れる渓流を跨ぐように根を張っています。その姿は、まるで根元から水が湧き出ているかのような錯覚を与え、訪れる人々に神秘的な雰囲気を感じさせます。
名所・施設の紹介
和池の大カツラ
和池の大カツラは但馬高原植物園のシンボルであり、樹齢1,000年以上の巨木として知られています。幹周約3mの樹叢が主幹を取り囲み、その姿は圧巻です。特に、湧水「千年水」を集めた渓流が根を跨いで流れる様子は、訪れる人々に感動を与えます。
瀞川平湿原
但馬高原植物園内には、瀞川平湿原が広がっており、オタカラコウやミソハギが群生する美しい景観を楽しむことができます。この湿原は、植物の北限や南限が交錯する場所であり、多様な植生が観察できます。
その他の施設
- コニファーガーデン: 瀞川平を取り囲む峰々を望む西洋式ナチュラルガーデンです。
- やわらが池: 美しい池があり、周囲の自然と調和しています。
- ローンステージ: 広場に設けられたイベントステージで、各種催しが行われます。
- テラスガーデン: テイクアウトの食事や園芸講座が楽しめる森の中のテラスです。
- レストラン「ヒュッテブルンネン」: 湧水「千年水」や但馬牛など地元食材にこだわった料理が楽しめるレストランです。
植物園データ
但馬高原植物園の標高は680m、面積は17ヘクタールに及びます。園内には60m²のアトリウム(室内庭園)があり、また、150m²および50m²の修景池も整備されています。レストラン「ヒュッテブルンネン」は170m²の広さがあり、70席を設けています。樹木や草花の自生植物は約2,000種にのぼり、さらにそれに類する植物が約300種観察できます。
和池の大カツラは兵庫県美方郡香美町村岡区和池に位置しており、その雄大な姿は、瀞川平の自然を象徴する存在です。特に、根元を貫く湧水の川が、この巨木をさらに神秘的なものとしています。兵庫県指定天然記念物であるこの大カツラは、但馬の巨木百選にも選ばれています。