円山応挙と大乗寺
円山応挙の訪問とその作品
大乗寺は「応挙寺」としても広く知られています。これは、江戸時代の画家・円山応挙とその弟子たち12名による165点の障壁画が存在し、すべて国の重要文化財に指定されているためです。これらの絵画は、仏間の十一面観世音菩薩(国重要文化財)を中心として、13の部屋に配されており、立体的な空間を活用して仏の世界を荘厳に表現しています。
応挙は、まだ無名だったころに大乗寺の住職・密蔵上人にその才能を見出され、学費を援助されました。その後、応挙は江戸での修行を経て画壇の頂点に立ち、恩返しとして大乗寺を訪れ、多数の襖絵や軸物を制作しました。
障壁画の特色と見どころ
大乗寺の障壁画には、応挙の得意とする技法が随所に見られます。例えば、墨だけで描かれているにもかかわらず、彩色されたように見える作品や、見る人の位置によって人物の体の向きが変わって見える“八方にらみ”の技法などがあります。これらの作品は、部屋という立体空間を利用して、仏の世界・曼陀羅を見事に表現しており、訪れる人々を魅了します。
大乗寺の歴史
創建と再興
大乗寺は、天平17年(745年)に行基菩薩が開山したと伝えられています。しかし、その後の戦乱により寺勢は衰退しましたが、江戸時代後期の寛政年間(1789年 - 1800年)に、当時の住職密蔵によって再興されました。この時期に、円山応挙とその弟子たちによる障壁画が制作され、現在に至るまで大切に保存されています。
大乗寺の境内
石垣と山門
大乗寺の境内に入ると、まず目に入るのが荘厳な石垣と立派な山門です。これらの建造物は、歴史の重みを感じさせ、訪れる人々に深い敬意を抱かせます。
観音堂
観音堂には、行基が自ら彫ったとされる聖観音が祀られています。堂内は静謐な空間が広がり、多くの参拝者が訪れて祈りを捧げています。
薬師堂
薬師堂は、病気平癒を祈願する人々にとって重要な場所です。本尊として薬師如来が祀られており、参拝者が絶えません。
客殿
大乗寺の客殿は、円山応挙やその弟子たちが手掛けた障壁画で飾られており、13室にわたって展開されています。これらの作品は寺院の歴史を物語る重要な文化財として大切に保存されています。
文化財
国指定の重要文化財
大乗寺には、多くの文化財が存在し、その中でも特に重要なものが国の重要文化財に指定されています。以下にその一部を紹介します。
客殿障壁画
大乗寺の客殿には、円山応挙やその弟子たちによって描かれた障壁画が13室にわたって配置されています。これらの絵画は、時代を超えて多くの人々に感動を与え続けています。
木造十一面観音立像
観音堂に祀られている木造十一面観音立像は、寺の守護神として多くの信者に崇敬されています。
木造聖観音立像
この像も観音堂に安置されており、寺院の歴史を象徴する重要な文化財です。
木造観音立像
観音堂のもう一つの重要な像であり、歴史的価値が高く、県指定文化財に指定されています。
県指定文化財
大乗寺には、県指定文化財も多く存在しています。その中には、木造四天王立像や木造薬師如来座像、客殿・庫裏・山門などが含まれています。
町指定文化財
また、町指定文化財として、元しいがかま古墳天井石や大乗寺のくすが指定されています。
客殿障壁画の詳細
客殿の障壁画は、円山応挙筆やその弟子たちによるものであり、その内訳は以下の通りです。
- 紙本金地墨画山水図 円山応挙筆 14面
- 紙本金地著色郭子儀図 円山応挙筆 8面
- 紙本金地墨画松孔雀図 円山応挙筆 16面
- 紙本淡彩四季耕作図 呉春筆 12面
- 紙本淡彩群山露頂図 呉春筆 14面
- 紙本淡彩群猿図 長沢芦雪筆 11面
- 紙本淡彩梅花狗子図 山本守礼筆 11面
- 紙本著色少年行図 山本守礼筆 8面
- 紙本著色採蓮図 亀岡規礼筆 4面
- 紙本淡彩群仙図 秀雪亭筆 8面
- 紙本淡彩蓮池図 円山応瑞筆 8面
- 紙本淡彩遊鯉図 円山応瑞筆 8面
- 紙本著色藤花禽鳥図 奥文鳴筆 3面
- 紙本金地著色果子図 4面
- 紙本淡彩遊亀図 木下応受筆 8面
- 紙本淡彩飛燕図 山跡鶴嶺筆 2面
- 紙本金地著色鶏図 円山応瑞筆 1面
- 紙本墨書応挙書簡等 1巻
- 紙本淡彩梅花遊禽図 駒井源琦筆 5面
- 紙本淡彩山雀図 森徹山筆 9面
- 紙本淡彩蛾蝶図 山口素絢筆 10面
拝観案内
大乗寺の拝観時間は9:00~16:00(受付は15:40まで)で、拝観料は大人1200円、子ども600円(小学生)となっています。訪れる際には、文化財や歴史をじっくりと堪能できるよう、ゆとりを持って訪れることをおすすめします。