祭神
石部神社の祭神は、次の8柱です。この8柱を総称して「八柱大神」と呼びます。
主祭神
天日方奇日方命(あめのひかたくしひかたのみこと) - 石部氏の祖神であり、石部神社の主祭神として祀られています。
合祀神
- 大山積神
- 大巳貴神
- 大物主神
- 事代主神
- 健御名方命
- 高彦根命
- 瀧津彦命
なお、かつては天之日矛(天日槍)を祭神とする伝承もありましたが、現在の祭神は上記の8柱となっています。
歴史
石部神社の創建時期は不詳ですが、社伝によると、当初は坪井村(現在の豊岡市出石町坪井)に鎮座していたとされています。その後、文禄4年(1595年)には毘沙門町の丘上に遷座し、さらに寛永3年(1705年)11月に現在の地に移されたと伝えられています。創建地とされる坪井地域は、歴史的に早くから開発が進んだ地域であり、神社の歴史と地域の発展が深く結びついていることが伺えます。
式内社としての位置付け
延長5年(927年)に成立した『延喜式』神名帳には、但馬国出石郡に「石部神社」と記載されており、式内社として列しています。これは、古くからの信仰が厚く、重要な神社であったことを示しています。
江戸時代の崇敬
江戸時代には、石部神社の遷座が行われたほか、出石藩の藩主であった小出家や仙石家からの崇敬を受けていました。これにより、神社は地域社会において重要な役割を果たし続けました。
明治維新以降の歩み
明治維新後、石部神社は明治6年(1873年)10月に近代社格制度において村社に列せられ、さらに明治12年(1879年)8月には郷社に昇格しました。これにより、神社の地位はさらに高まり、現在に至るまで地域の信仰を集め続けています。
境内
石部神社の境内には、豊岡市指定の天然記念物である大ケヤキが立ち、歴史と自然が調和した美しい風景が広がっています。また、昭和10年(1935年)に造営された本殿と拝殿も見どころです。
本殿
本殿は、昭和10年(1935年)に造営されました。二間社流造(ふたましゃながれづくり)で、屋根は銅板葺きとなっています。伝統的な建築様式を今に伝える、風格ある建物です。
拝殿
拝殿も同じく昭和10年に造営されました。入母屋造(いりもやづくり)で、屋根は瓦葺きです。参拝者を迎えるこの拝殿は、厳かな雰囲気を漂わせています。
大ケヤキ
境内にそびえる大ケヤキは、樹齢1,000年とされ、幹周囲は8メートル、樹高は30メートルに達します。この大ケヤキは、1993年(平成5年)に豊岡市指定の天然記念物に指定され、その壮大な姿は訪れる人々を圧倒します。
摂末社
石部神社の境内には、皇大神宮と天満神社の二つの摂末社があります。
皇大神宮
皇大神宮は、天照大御神、品陀和気命、太田命を祭神として祀っています。また、豊受皇大神と玉依比売命を配祀し、地域の人々の信仰を集めています。
天満神社
天満神社は、学問の神として広く知られる菅原道真を祭神とし、他にもいくつかの神々が祀られています。特に受験生や学業に励む人々にとって、重要な参拝先となっています。
祭事
石部神社では、年間を通じて多くの祭事が執り行われています。以下は、主な祭事の一覧です。
主な祭事
- 元旦祭 (1月1日)
- 元始祭 (1月3日)
- 節分祭 (2月3日) - お籠り神事が行われます。
- 祈年祭 (2月17日)
- 夏越祭 (6月末日曜)
- 大祭 (10月15日前の日曜) - かつては9月12日、のちに10月15日に行われていました。諸杉神社や伊福部神社とともに「だんじり祭り」と称し、約20台のだんじりが出石城前でぶつけ合う喧嘩祭りが行われます。
- 感謝祭 (11月23日)
文化財
石部神社には、豊岡市指定の文化財がいくつか存在します。特に、天然記念物に指定されている大ケヤキは、その巨木としての存在感から多くの人々に愛されています。
現地情報
所在地
石部神社の所在地は、兵庫県豊岡市出石町下谷62です。
交通アクセス
出石中心部の辰鼓楼から東方へ徒歩約12分で到着します。
周辺施設
石部神社の周辺には、次のような歴史的・文化的スポットがあります。
- 茶臼山古墳 - 豊岡市指定史跡。
- 諸杉神社 - 近隣の神社。