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出石 石部神社

(いずし いそべ じんじゃ)

出石の歴史を見守る古社

石部神社は、兵庫県豊岡市出石町下谷に鎮座する、長い歴史を持つ神社です。古くから地域の人々の信仰を集め、平安時代に編纂された『延喜式』神名帳にも記載された式内社として知られています。出石の歴史とともに歩んできた神社であり、城下町の散策とあわせて訪れたい歴史スポットの一つです。

境内には、豊岡市指定の天然記念物である大ケヤキがそびえ立ち、歴史ある社殿と豊かな自然が調和した景観をつくり出しています。長い年月を生き抜いてきた巨木の姿からは、神社が地域の人々に大切に守られてきたことが感じられます。

八柱大神を祀る神社

石部神社では、主祭神の天日方奇日方命(あめのひかたくしひかたのみこと)をはじめ、八柱の神々を祀っています。これらの神々は総称して「八柱大神」と呼ばれています。

天日方奇日方命は、石部氏の祖神とされる神です。境内では、この主祭神に加え、古くから信仰されてきた複数の神々がともに祀られています。

主祭神

天日方奇日方命は、石部氏の祖神として伝えられ、石部神社の中心となる神です。神社の由緒を知るうえで重要な存在とされています。

合祀神

主祭神とともに祀られているのは、大山積神、大巳貴神、大物主神、事代主神、健御名方命、高彦根命、瀧津彦命の七柱です。主祭神を合わせた八柱の神々が、石部神社の祭神を構成しています。

なお、かつては天之日矛(天日槍)を祭神とする伝承もありましたが、現在は上記の八柱の神々が祀られています。

坪井から現在の地へ――神社の歴史

石部神社の創建年代は明らかになっていませんが、社伝によると、当初は現在の豊岡市出石町坪井に鎮座していたとされています。その後、文禄4年(1595年)に毘沙門町の丘上へ移され、さらに寛永3年(1705年)11月に現在の場所へ遷座したと伝えられています。

創建地とされる坪井周辺は、古くから開発が進められた地域です。神社の移転の歴史をたどると、地域の発展や人々の暮らしの変化と、信仰の場が深く結びついてきたことがうかがえます。

『延喜式』に記された式内社

石部神社は、延長5年(927年)に成立した『延喜式』の神名帳に、但馬国出石郡の神社として記載されています。式内社とは、古代の法令や制度に基づいてまとめられた神社の一覧に記載された神社を指します。

平安時代の史料にその名が残されていることは、石部神社が古くから地域に根づき、重要な信仰の場として存在していたことを示す手がかりです。出石の歴史を訪ねる際には、城下町が形成される以前から続く地域の信仰にも目を向けてみてください。

出石藩主から受けた崇敬

江戸時代には、石部神社は出石藩主の小出家や仙石家から崇敬を受けていました。藩主の庇護を受けながら、地域社会における信仰の中心の一つとして役割を果たしてきました。

明治維新後には、明治6年(1873年)10月に近代社格制度の村社に列せられ、明治12年(1879年)8月には郷社へ昇格しました。時代とともに制度上の位置づけは変わりましたが、地域の人々の信仰を集める神社として受け継がれています。

昭和10年に造営された本殿と拝殿

境内の社殿も見どころの一つです。本殿と拝殿は、いずれも昭和10年(1935年)に造営されました。伝統的な神社建築の様式を受け継ぎ、境内に落ち着いた雰囲気をもたらしています。

本殿

本殿は、二間社流造(ふたましゃながれづくり)という建築様式で造られています。屋根は銅板葺きで、伝統的な社殿建築の特徴を見ることができます。神々を祀る中心的な建物として、境内の景観を形づくっています。

拝殿

拝殿も本殿と同じ昭和10年に造営された建物です。入母屋造(いりもやづくり)で、屋根は瓦葺きとなっています。参拝者が神前に向かう場所として、落ち着いた佇まいを見せています。

樹齢約1,000年と伝わる大ケヤキ

石部神社の境内でひときわ目を引くのが、豊岡市指定天然記念物の大ケヤキです。樹齢は約1,000年とされ、幹周囲約8メートル、樹高約30メートルに達する巨木です。長い年月をかけて成長したその姿は、境内の象徴的な存在となっています。

この大ケヤキは、平成5年(1993年)に豊岡市指定の天然記念物となりました。古くからの神社の歴史を見守ってきたと考えられる巨木は、地域の自然遺産としても貴重です。社殿への参拝とあわせて幹の太さや枝ぶりを眺めれば、自然が刻んできた時間の長さを実感できるでしょう。

境内に鎮座する摂末社

石部神社の境内には、皇大神宮と天満神社の二つの摂末社があります。本社への参拝とともに、それぞれの神社に祀られている神々についても知ることで、境内に受け継がれてきた信仰をより深く感じられます。

皇大神宮

皇大神宮では、天照大御神、品陀和気命、太田命を祀り、さらに豊受皇大神と玉依比売命を配祀しています。複数の神々を祀る社として、地域の人々から信仰を集めています。

天満神社

天満神社の祭神は、学問の神として広く知られる菅原道真です。学業成就や試験合格を願う人々にとっても、参拝先の一つとなっています。石部神社を訪れた際には、こちらにも手を合わせ、境内の神社を巡ってみてはいかがでしょうか。

一年を通して行われる祭事

石部神社では、年間を通じてさまざまな祭事が執り行われています。新年の祭典から季節の節目に行われる神事、秋の大祭まで、地域の暮らしと結びついた行事が受け継がれています。

主な祭事

元旦祭(1月1日)は、新しい年を迎えて行われる祭典です。続いて1月3日には元始祭が執り行われます。2月3日の節分祭では、お籠り神事が行われ、2月17日には五穀豊穣などを祈る祈年祭が催されます。

6月末の日曜日には夏越祭が行われ、半年の節目にあたる時期の祭事として伝えられています。11月23日には感謝祭が執り行われます。

秋の大祭と出石のだんじり祭り

石部神社の大祭は、10月15日前の日曜日に行われます。かつては9月12日、その後は10月15日に行われていたとされ、時代とともに開催日が変化してきました。

この大祭は、諸杉神社や伊福部神社の祭礼とともに「だんじり祭り」と呼ばれています。祭りでは、約20台のだんじりが出石城前に集まり、ぶつけ合う勇壮な喧嘩祭りが行われます。地域の伝統と熱気を感じられる祭事であり、出石の秋を彩る行事の一つです。

石部神社へのアクセス

石部神社は、出石の中心部から歩いて訪れることができます。出石のシンボルとして知られる辰鼓楼から東へ徒歩約12分です。出石城跡や伝統的な町並みを巡る散策コースに組み込めば、城下町の歴史と古くから続く神社の信仰をあわせて楽しめます。

所在地:兵庫県豊岡市出石町下谷62

周辺の史跡と神社を巡る

石部神社の周辺には、地域の歴史を伝える史跡や神社があります。近隣の茶臼山古墳は豊岡市指定史跡で、古代の地域社会に思いを巡らせることができる場所です。また、諸杉神社も近くにあり、出石に受け継がれてきた神社信仰に触れることができます。

出石城跡や辰鼓楼、歴史的な町並みとあわせて巡れば、古代から近世、そして現代へと続く出石の歴史をより幅広く知ることができるでしょう。

歴史と自然が調和する出石の古社

出石石部神社は、『延喜式』に名を残す古社として、長い歴史と地域の信仰を今に伝えています。八柱大神を祀る社殿や、出石藩主からの崇敬、昭和10年に造営された本殿・拝殿など、境内には歴史を感じられる見どころが点在しています。

なかでも、樹齢約1,000年と伝わる大ケヤキは、神社の歴史と自然の力強さを象徴する存在です。季節ごとの祭事にも地域の伝統が息づいています。出石の町歩きの途中に立ち寄り、古社の静かな空気と、長い年月を重ねてきた境内の景観をゆっくりと味わってみてください。

Information

名称
出石 石部神社
(いずし いそべ じんじゃ)

城崎・出石・湯村温泉

兵庫県