開園の歴史と目的
兵庫県立コウノトリの郷公園は、1999年(平成11年)4月1日に一部供用を開始し、同年11月1日に正式に開園しました。初代園長は増井光子氏で、コウノトリの保護繁殖や野生復帰を目的とした様々なプロジェクトがこの公園で行われています。また、地域と連携し、コウノトリとの共生が可能な環境づくりにも力を入れており、地域の農業には「コウノトリ育む農法」として無農薬や減農薬栽培の取り組みが進められています。
施設概要と活動内容
コウノトリの保護と繁殖
この施設は、コウノトリの保護と繁殖、そして野生復帰を目的として設立されました。兵庫県は国からコウノトリ管理団体として指定を受けており、公園のスタッフの一部は、兵庫県立大学自然・環境科学研究所田園生態系の研究員も兼務しています。公園では、飼育されたコウノトリたちが観察できる公開ケージもあり、野生化したコウノトリや、給餌を求めて集まる野鳥も見られることがあります。
コウノトリ文化館とコウノピア
公園内には、豊岡市立コウノトリ文化館「コウノピア」が併設されており、ここでは飼育されているコウノトリの観察や自然環境と人間の共生に関する展示が行われています。また、一般の来場者向けの休憩所や、地域で活動するボランティアの拠点としても機能しており、訪れる人々にとって、学びと癒しの場となっています。
コウノトリ野生化ゾーン
公園には、コウノトリを野生に戻すための「コウノトリ野生化ゾーン」が設けられており、ここでは野生復帰に向けた訓練や研究が行われています。また、自然観察や学習を目的としたゾーンもあり、ピクニック園地や公開ケージを含む自然観察ゾーンが整備されています。これらのゾーンでは、訪れる人々が自然と触れ合いながら、コウノトリやその生息環境について学ぶことができます。
豊岡市立コウノトリ保護増殖センター
公園に先立ち、1965年(昭和40年)に「コウノトリ飼育場」として設立され、その後1992年(平成3年)に「コウノトリ保護増殖センター」と改称された施設が豊岡市野上にあります。1999年(平成11年)には、兵庫県立コウノトリの郷公園の附属飼育施設となり、現在もコウノトリの飼育と繁殖に取り組んでいます。
兵庫県立大学豊岡ジオ・コウノトリキャンパス
公園内には、2014年に兵庫県立大学の大学院地域資源マネジメント研究科および自然・環境科学研究所(地域資源マネジメント系)が設置されました。ここでは、但馬地域を主なフィールドとし、コウノトリやジオパークといった地域資源を活かした教育・研究が行われています。このキャンパスは、コウノトリと共生する地域社会の実現に向けた取り組みを支える重要な拠点となっています。
アクセス情報
兵庫県立コウノトリの郷公園へのアクセスは、JR西日本山陰本線および京都丹後鉄道の豊岡駅から全但バス「コウノトリの郷公園」または「法花寺」行きに乗車し、「コウノトリの郷公園」バス停で下車するのが便利です。また、京都丹後鉄道の「コウノトリの郷駅」から徒歩約30分の距離にあります。コウノトリ但馬空港からも全但バスを利用して豊岡駅経由で訪れることができます。
地域との連携
兵庫県立コウノトリの郷公園は、地域との密接な連携を通じて、コウノトリとの共生を目指した様々な活動を展開しています。特に「コウノトリ育む農法」による無農薬・減農薬栽培は、地域の農業に新たな価値をもたらし、持続可能な農業の発展にも寄与しています。このような取り組みを通じて、公園は地域社会とともにコウノトリ保護のモデルケースを築いています。
まとめ
兵庫県立コウノトリの郷公園は、コウノトリの保護・繁殖および野生復帰を目的とした日本有数の施設であり、人間と自然の共生を考える重要な場所です。地域との連携を深めながら、持続可能な環境づくりに貢献するこの公園は、未来に向けた自然保護のモデルとして、国内外から注目されています。