豊岡市但東町とモンゴルの関係
豊岡市但東町は、チューリップまつりやひまわりまつりが開催される「花のまち」として知られています。また、京丹後市とともに「ちりめん(絹織物)」の産地としても有名で、「日本国内におけるシルクロードのまち」として町おこし活動を展開してきました。この活動を通じて、モンゴルとの交流が始まり、その成果として1996年に日本・モンゴル民族博物館が開館しました。
モンゴルとの学術・文化交流
但東町とモンゴルとの交流は、学術的な交流や子どもたちの国際交流を中心に発展してきました。この交流は1996年の博物館開館に至るまで続き、現在でも両国の関係を深める重要な役割を果たしています。
展示内容と特徴
アジアの歴史と風土
館内では、模型やパネルを用いて、古代からの中国王朝やモンゴルの歴史が紹介されています。特に、モンゴル帝国が日本への侵略を試みた「文永の役(1274年)」や「弘安の役(1281年)」という2度の元寇について、詳しい解説が展示されています。
モンゴル草原の暮らしと文化
モンゴルの遊牧民が暮らすゲル(移動式住居)の内部が再現され、家具や装飾品、狩猟道具、民族衣装、馬頭琴などの楽器、モンゴル相撲関連用品、そして生活用品などが展示されています。これらの展示を通じて、草原での遊牧民の暮らし全般を体感することができます。
モンゴル草原のいのり
モンゴルの仏教寺院を再現した展示スペースでは、荘厳な雰囲気の中、多数の仏像や法具、仏教絵画が展示されています。この展示は、モンゴルの宗教文化を深く理解するための貴重な機会を提供します。
豊岡市但東町の暮らしと文化
昭和30年代の但東町の民家を再現した展示コーナーも設けられています。古い農機具や、但東地域に伝承されている民話の視聴装置などがあり、地域の伝統的な暮らしや文化を感じることができます。
歴史と開館の経緯
但東町とモンゴルの繋がり
豊岡市の但東町は、ちりめん(絹織物)の産地として知られており、1980年代半ばには「但東シルクロード」という名の町おこし活動が行われていました。同時期に大阪外国語大学(現・大阪大学)モンゴル語学科のゼミが但東町でフィールドワークを行い、これがきっかけとなり、モンゴルとの交流が始まりました。
博物館の開館と発展
1994年には「森と砂漠を結ぶ国際シンポジウム」が開催され、モンゴルから数千点もの民族資料が寄贈されました。1996年に日本・モンゴル民族博物館が開館し、その後も多くの展示と国際交流が続けられています。2000年には伝承文化体験交流館が竣工し、博物館の規模と内容がさらに充実しました。
施設と展示ゾーンの詳細
A棟: たんとうの森
「たんとうの森」と名付けられた展示室では、京街道をイメージした通路に平安時代の朽木仏像群が展示されています。また、囲炉裏端があり、訪問者がゆっくりとくつろぐことができるスペースも設けられています。
B棟: アジアの歴史と風土、モンゴル草原の祈り
B棟には「アジアの歴史」として埋蔵文化財を用いたモンゴル民族の歴史紹介や、モンゴルのチベット仏教寺院を再現した「モンゴル草原の祈り」の展示があります。希望者には、モンゴル映画の上映や講座も行われます。
C棟: モンゴル草原の暮らしと文化
C棟では、モンゴルの遊牧民の暮らしを体感できる展示が行われており、原寸大のゲルが展示されています。また、民族衣装の試着体験もでき、訪問者はモンゴルの生活に触れることができます。
伝承文化体験交流館
伝承文化体験交流館では、豊岡市但東町の暮らしと文化を紹介する展示があり、実物大の民家が再現されています。通路には、モンゴル伝統絵画の技法による巨大絵画も展示され、訪問者を魅了します。また、屋外展示にはチンギス・ハーン騎馬像や縄文時代の竪穴建物の復原があり、歴史的な雰囲気を楽しむことができます。