海岸線の概要
香住海岸は、香住湾を中心に広がる海岸線を指し、東部から西部にかけて様々な特徴的な地形が見られます。
東部エリア
東部には城山半島、黒島、白石島などの島々があり、海岸線には無数の海食崖や海蝕洞、奇岩が連なっています。特に、国の天然記念物に指定されている「鎧の袖」は、このエリアの象徴的な存在です。
西部エリア
西部には香住浜、松ヶ崎、蜂ノ巣島、鷹ノ巣島、但馬松島などがあり、複雑な地形が広がる景勝地が続いています。海岸線は火山岩や水成岩が堆積した新第三紀の地層が見られ、その違いによる侵食速度の差から生まれる独特の海食崖が形成されています。
地質と地形の特徴
香住海岸は、火山活動や地殻変動によって形成された新第三紀の北但層群および照来層群から成り立っています。これらの層は、悠久の時をかけて波によって削られ、現在の複雑な海食崖が生まれました。特に、海食崖が多い山陰海岸の中でも、香住海岸は特に複雑で変化に富んだ景観が広がっています。
歴史的背景
香住海岸は、1938年(昭和13年)5月に国の名勝に指定され、その美しい景観が広く知られるようになりました。
観光とアクセス
かつて香住港からの遊覧船が運航されていましたが、2016年11月30日に営業を終了しました。しかし、2019年5月には非旅客船(小型漁船)による不定期航路事業「かすみ海上GEO TAXI」が運航を開始し、観光クルーズとして再びこの地域を楽しむことができるようになりました。
香住海岸の主要スポット
香住港エリア
香住港周辺には、黄金松や大島などの観光スポットがあり、海水浴や釣りを楽しむことができます。
大引の鼻
香住湾の東端に位置する「大引の鼻」は、安山岩の断層崩壊によって形成された断崖です。岬の先端には展望台が設けられており、香住湾の海岸線を一望することができます。特に、但馬赤壁と呼ばれる赤褐色の崖は圧巻で、三国志に登場する戦場の名に因んで命名されました。
鎧の袖
「鎧の袖」は、香住海岸の東部に位置する高さ65メートル、長さ200メートル、傾斜角70度の大海食崖です。この崖は約1,000万-300万年前の火山活動によって形成され、流紋岩質デイサイトと凝灰岩の柱状節理および板状節理が武士の鎧を彷彿とさせることからその名が付けられました。
周辺の観光スポット
鎧の袖周辺には、クジャク洞門や鷹ノ巣島(インディアン島)など、無数の奇岩や洞門が連なり、自然の神秘を感じることができます。
旭洞門
旭洞門は、兵庫県新温泉町と香美町の境界に位置する火山砕屑岩の海食洞で、山陰海岸国立公園に属しています。この海食洞は、全長約600メートルの鋸岬の中央を東西に貫通しており、5月20日頃から1週間だけ洞門越しに日の出を鑑賞することができます。その景色の美しさから「旭洞門」と名付けられました。
観光の魅力
香住海岸は、ただ美しい景観を楽しむだけでなく、地質学的な視点からも興味深いスポットが多くあります。柱状節理や板状節理の断崖、奇岩、海食洞など、自然が創り出した多様な景観が訪れる人々を魅了しています。
さらに、夕陽や漁火の美しい景色を楽しめるスポットも多く、訪れる季節によって異なる表情を見せる香住海岸は、四季折々の自然の美しさを堪能できる場所です。
香住海岸へのアクセスは、公共交通機関や車を利用することができ、特に海岸線沿いを走るドライブコースは、絶景を楽しむことができるおすすめのルートです。訪れる際には、ぜひゆっくりと時間をかけて、自然が織りなす美しい景観を満喫してください。