概要
温泉寺の歴史は非常に古く、寺伝によれば、天平10年(738年)に城崎温泉の開祖である道智上人が開基したとされています。寺の名称である「温泉寺」と山号の「末代山」は、当時の聖武天皇から賜ったものであると伝えられています。この寺院は、但馬地方で最も古い木造建築を有し、室町時代初期に建立された本堂などが国の重要文化財に指定されています。
文化財
温泉寺には、数多くの文化財が存在します。
- 本堂 - 室町時代初期に建立されたこの建物は、和様・禅宗様・大仏様の三様式を折衷した入母屋造であり、正面5間の広さを誇ります。本尊の十一面観音が安置されています。
- 絹本著色十六善神像 - 平安時代末期の作品であり、国の重要文化財に指定されています。
- 木造十一面観音立像 - 平安時代中期に作られたとされ、伝稽文作とされています。
- 木造千手観音立像 - 平安時代後期の作品であり、こちらも国の重要文化財に指定されています。
- 石造宝篋印塔 - 鎌倉時代末期に建立されたこの塔も重要文化財として保護されています。
境内の見どころ
温泉寺の境内は、大きく山麓、山腹、山頂の三つのエリアに分かれています。それぞれに見どころがあり、訪れる人々を魅了します。
山麓エリア
- 山門(仁王門) - 江戸時代の明和期(1764年-1772年)に建立された八脚二重門で、寺院の象徴的な建造物です。
- 薬師堂 - 江戸時代文化期(1804年-1818年)に建立され、薬師如来が安置されています。
山腹エリア
- 本堂 - 先述の通り、室町時代初期に建立され、三様式が折衷された建築です。
- 本坊 - 寺院の住職が生活する建物です。
- 多宝塔 - 江戸時代中期(1768年)に再建された塔で、但馬地方で唯一の多宝塔です。金剛界大日如来が安置されています。
- 石造宝篋印塔 - 境内に点在する塔の一つです。
- 鐘楼 - 江戸時代初期に建立された鐘楼で、境内に響く鐘の音が特徴です。
山頂エリア
- 奥の院 - 平成22年(2010年)に再建された奥の院は、倉橋英太郎建築設計事務所によって設計されました。
- 慈母観音像 - 平成19年(2007年)10月28日に建立された像で、多くの参拝者が訪れます。
- かに塚 - 山頂にある、蟹にまつわる供養塔です。
年中行事
温泉寺では、毎年4月23日と24日に開山忌が行われます。この行事は、道智上人を偲び、寺院の歴史と伝統を守り続ける重要な行事です。
交通アクセス
温泉寺へのアクセスは非常に便利です。JR山陰本線の城崎温泉駅から徒歩約15分で到着することができます。また、全但バス「城崎町内経由」などを利用し、「鴻の湯」バス停で下車後、徒歩約2分で大師山麓に到着します。そこから参道の石段を450段登ると、本堂にたどり着くことができます。
さらに、城崎温泉ロープウェイを利用することで、より快適に温泉寺を訪れることができます。ロープウェイ「城崎温泉」駅から3分で「温泉寺」駅に到着し、そこから本堂までは徒歩すぐです。