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辰鼓楼

(しんころう)

出石城下町のシンボルとして時を刻む歴史的な時計台

辰鼓楼は、兵庫県豊岡市出石にある歴史的な時計台です。出石総合支所の敷地内に建ち、かつて城下町として栄えた出石の町並みを象徴する存在として親しまれています。周辺には歴史的な建造物や風情ある町並みが残り、辰鼓楼は出石観光でぜひ訪れたい名所のひとつです。

明治時代初期に建設された辰鼓楼は、当初、太鼓を打ち鳴らして時刻を知らせるための施設でした。やがて機械式の大時計が設置され、町の人々に時を告げる時計台へと姿を変えました。現在も出石の歴史を伝えるシンボルとして、訪れる人々を迎えています。

高さ18メートルの木造建築

辰鼓楼の本体は、木造四層からなる高さ約13メートルの建物です。その下には高さ約5メートルの石垣が築かれており、全体として堂々とした姿を見せています。歴史ある出石の町並みの中でもひときわ目を引く建造物で、周辺を散策する際の目印にもなっています。

辰鼓楼は1871年(明治4年)に建設されました。現在のような時計台になる前は、太鼓を使って時刻を知らせる役割を担っていました。城下町の暮らしや地域の歴史を今に伝える建造物として、その姿を大切に守り続けています。

太鼓で時を告げた辰鼓楼の始まり

辰鼓楼が建てられたのは、1871年6月1日(明治4年4月14日)とされています。「辰鼓楼」という名称は、かつて「辰の刻」を知らせるために太鼓を打ち鳴らしていたことに由来するといわれています。藩主の登城を知らせるために使われていたという説もあり、当時の町の生活や政治と深く結びついた施設だったことがうかがえます。

明治維新を経て社会が大きく変化する中、辰鼓楼も新しい時代に合わせて役割を変えていきました。太鼓で時を知らせる施設から、機械式時計によって時刻を伝える時計台へと移り変わった歴史は、近代化が進む日本の地方都市の姿を知る手がかりにもなります。

1881年に大時計を設置

1881年(明治14年)、旧出石藩の藩医だった池口忠恕が、辰鼓楼に機械式の大時計を寄贈しました。池口は大病を患った際、地元の人々から見舞いや全快祝いを受けたことへの感謝を込めて、時計を贈ったと伝えられています。これを機に、辰鼓楼は時計台として稼働するようになりました。

この時計については、オランダ製だったという説がある一方、時計の技術を学ぶために若者が東京や長崎へ派遣されたという記録も残されています。その製造国や製作の経緯には不明な点があり、辰鼓楼の歴史を解き明かすうえで重要な研究対象となっています。

辰鼓楼は、日本で二番目に古い時計台として紹介されることがあります。札幌市時計台も1881年に時計台として稼働を始めたため、両者の歴史的な位置づけについては、建設年だけでなく稼働開始時期などを含めて考える必要があります。

時計台としての稼働開始日を再調査

2021年(令和3年)、出石の弘道小学校に保管されていた日誌をもとに、辰鼓楼が時計台として稼働を始めた日付について調査が行われました。その結果、稼働開始日は1881年9月8日であることが確認されました。この発見は辰鼓楼の歴史をより詳しく知る手がかりとなり、地域の歴史に改めて注目が集まるきっかけとなりました。

さらに2023年には、辰鼓楼の時計が日本製かどうかを確認するため、本格的な調査が始まりました。NPO法人「但馬國出石観光協会」が兵庫県立大学に調査を依頼し、専門家による調査委員会が組織されています。分析結果は2028年3月までに取りまとめられる予定とされ、時計の来歴に関する新たな事実の解明が期待されています。

2017年に修復工事を実施

辰鼓楼では、建物を良好な状態で保存し、後世へ伝えていくため、2017年(平成29年)5月から10月にかけて修復工事が行われました。工事期間中には内部の見学会も開催され、地元住民や観光客が建物の構造や歴史に触れる機会となりました。

修復後も、辰鼓楼は出石の町を象徴する存在として親しまれています。歴史ある木造建築と時計の組み合わせは、出石の城下町らしい景観を形づくる大切な要素です。訪れた際には、建物の外観だけでなく、石垣や木造部分の造りにも注目してみてください。

辰鼓楼と巡る出石の歴史散策

辰鼓楼の周辺には、出石の歴史や文化を知ることができる観光スポットが点在しています。かつての城下町の面影を残す町並みを歩きながら、歴史的な建造物や資料館を巡ることで、出石の魅力をより深く感じられます。

豊岡市出石伝統的建造物群保存地区

出石の町には、城下町として発展した時代の面影を残す建物や町並みが見られます。歴史的な景観を楽しみながら歩けば、辰鼓楼が地域の暮らしや町の歴史とともに受け継がれてきたことを実感できるでしょう。

出石城跡

出石城跡は、かつての出石藩の歴史を伝える場所です。城跡と城下町の町並みをあわせて巡ることで、辰鼓楼が建つ地域の歴史的な背景にも触れられます。町歩きの途中に立ち寄り、出石の歴史をたどってみてはいかがでしょうか。

豊岡市立 出石家老屋敷

出石家老屋敷では、江戸時代の武家屋敷の暮らしや建築の特徴に触れることができます。城下町の歴史を身近に感じられる施設であり、辰鼓楼や出石城跡とあわせて訪れるのに適しています。

伊藤清永記念館

伊藤清永記念館は、出石ゆかりの洋画家・伊藤清永の作品を紹介する美術館です。歴史的な町並みや建造物を巡るだけでなく、地域にゆかりのある芸術家の作品にも触れることで、出石の文化を幅広く楽しめます。

辰鼓楼へのアクセス

辰鼓楼へは、JR山陰本線・京都丹後鉄道の豊岡駅、またはJR山陰本線の八鹿駅から全但バス「出石」行きに乗車します。所要時間は約30分で、終点の「出石」バス停から徒歩約5分です。

辰鼓楼は出石の町歩きの中心となる場所にあるため、周辺の史跡や資料館をあわせて巡るのがおすすめです。歴史ある町並みを散策しながら、出石のシンボルとして時を刻んできた辰鼓楼の姿を楽しんでみてください。

出石の歴史を今に伝える町のシンボル

辰鼓楼は、1871年の建設から太鼓による時刻の合図、1881年の大時計設置、そして現代に至るまで、出石の町とともに歩んできた歴史的な時計台です。時計の来歴については現在も調査が進められており、その歴史には今なお解明が期待される部分が残されています。

周辺には出石城跡や歴史的な町並み、武家屋敷、美術館などがあり、辰鼓楼を起点に出石の歴史と文化を巡ることができます。城下町の風情を感じながら、長い年月にわたって地域の人々に親しまれてきた時計台を訪ねてみてはいかがでしょうか。

Information

名称
辰鼓楼
(しんころう)

城崎・出石・湯村温泉

兵庫県