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久須部渓谷

(くすべ けいこく)

大小の滝と清流が織りなす、但馬の自然豊かな渓谷

久須部渓谷は、兵庫県美方郡香美町小代区に位置する、滝と清流に恵まれた美しい渓谷です。氷ノ山後山那岐山国定公園に属し、日本海へ注ぐ矢田川の源流の一つとして、豊かな森林と変化に富んだ渓谷美を楽しめます。仏の尾(標高1,227m)の山麓に広がる久須部川の上流域には、要滝や三段滝、鈴滝、荒滝、吉滝など、個性豊かな滝が点在しています。

夏には涼やかな水音が響き、緑に包まれた渓谷が訪れる人々を迎えてくれます。四季折々に表情を変える自然はもちろん、火山活動によって生まれた地形や、かつての金山跡、水車の遺構なども見どころです。山陰海岸ジオパークの散策モデルコース「和牛のふるさと・小代(OJIRO)」の主要エリアでもあり、自然と歴史、地域の文化をあわせて楽しめる観光スポットです。

火山活動が生み出した渓谷の地形

久須部渓谷の地形には、日本列島の形成後に起こった火山活動が深く関わっています。周辺には溶岩類や凝灰岩、礫岩など、さまざまな地質が分布しており、長い年月をかけた水の流れが岩肌を削り、渓谷や滝の景観を形づくってきました。

また、地域には地すべりによって形成された緩やかな斜面も見られ、古くから人々の生活の場として利用されてきました。自然が生み出した地形と、人々が山あいの環境に適応して築いてきた暮らしが共存することも、この地域ならではの特徴です。小代は但馬牛の故郷としても知られ、豊かな自然環境が地域の歴史や文化を支えてきました。

仏の尾を源とする久須部川の清流

久須部川は、標高1,227mの仏の尾に源を発し、山々から流れ込む冷たい水を集めながら谷を下っていきます。川沿いには吉滝や荒滝、要滝などが連なり、久須部集落を通って、やがて矢田川本流へと合流します。

水の流れが岩場を縫うように進む渓谷では、場所ごとに異なる景色が広がります。夏は木々の緑と清流が涼しげな雰囲気を生み出し、滝の周辺では水しぶきやせせらぎが心地よく感じられます。自然の音に耳を傾けながら散策すれば、山里ならではの静けさと開放感を味わえるでしょう。

久須部渓谷を代表する滝めぐり

要滝・三段滝・鈴滝・荒滝

久須部渓谷には、形や落差の異なる滝が点在しています。なかでも要滝(かなめのたき)は、落差約10mの力強い滝です。岩場を流れ落ちる水の勢いからは、自然の迫力を間近に感じられます。

そのほか、段を重ねながら水が流れ落ちる三段滝や、落差約20mの鈴滝、渓谷の景観を彩る荒滝なども見どころです。それぞれ異なる表情を持つ滝を巡ることで、久須部川が長い時間をかけてつくり上げた渓谷の多彩な魅力に出会えます。

吉滝――滝の裏側から眺める神秘的な景観

久須部渓谷周辺を代表する名瀑が、香美町小代区にある吉滝(よしたき)です。落差約35mの二段瀑と紹介されることもありますが、滝の上段は約23m、下段は約5mとされ、流れ落ちる水が周囲の岩や緑と調和した美しい景観をつくり出しています。

吉滝の最大の特徴は、滝の裏側に回り込んで流れを眺められる「裏見の滝」であることです。滝の背後には吉滝神社があり、岩壁と水の流れが織りなす神秘的な光景を楽しめます。兵庫県指定文化財の名勝にも指定されており、自然の造形美と信仰が結びついた貴重な場所です。

周辺には吉滝キャンプ場やコテージ村があり、宿泊しながら山の自然を満喫することもできます。滝の見学とあわせて、森林散策やアウトドアを楽しみたい人にもおすすめです。

自然の中に残る金山跡と水車の遺構

久須部渓谷周辺には、かつて金の採掘が行われていた金山の跡地が残されています。近世に掘られたとされるこれらの遺構は、山の資源を利用して暮らしてきた人々の歴史を伝えています。

また、かつて発電に使われていた水車の遺構も残されており、渓谷の自然だけでなく、地域の産業の歩みを知る手がかりとなっています。清流や森林の景観とともにこうした歴史的な痕跡を巡れば、自然の恵みが人々の生活や産業にどのように生かされてきたのかを感じられるでしょう。

山陰海岸ジオパークの散策モデルコース

久須部渓谷は、山陰海岸ジオパークの散策モデルコース「和牛のふるさと・小代(OJIRO)」を構成する主要エリアです。このコースでは、吉滝や久須部渓谷などを巡りながら、山里の自然や地形の成り立ちに触れることができます。

小代は但馬牛の発祥地として知られる地域です。山々に囲まれた地形や清らかな水、豊かな自然環境は、この土地の暮らしや畜産文化とも深く関わっています。渓谷を歩きながら周辺の風景にも目を向けると、自然と地域の歴史が結びついた小代ならではの魅力をより深く味わえます。

渓流釣りや山菜採りで自然を満喫

久須部渓谷周辺では、豊かな自然を生かしたアウトドアも楽しめます。川にはヤマメやアマゴなどの渓流魚が生息し、渓流釣りを楽しむ人々にも親しまれています。周辺には渓流釣り場や釣り堀、散策路などが整備されており、自然と触れ合いながら過ごせる環境が整っています。

また、季節によっては山菜採りも楽しめます。山の恵みを感じながら散策するのも、里山ならではの過ごし方です。釣りや山菜採りを行う際は、利用できる場所や時期、ルールを事前に確認し、自然環境を守りながら楽しみましょう。

滝見亭で味わう小代の山里料理

久須部渓谷を訪れた際には、周辺の食事処「滝見亭」で地元の味覚を楽しむのもおすすめです。山菜やアマゴなど、地域の自然が育んだ食材を使った料理が提供されており、小代ならではの食文化に触れられます。

川や木々を眺めながら食事を楽しめるのも魅力の一つです。渓谷の散策とあわせて立ち寄れば、目の前に広がる自然だけでなく、土地の恵みを味わうひとときも旅の思い出になるでしょう。

久須部渓谷へのアクセス

久須部渓谷へのアクセスは、訪れる場所によって経路が異なるため、事前に目的地を確認しておくことが大切です。吉滝など渓谷周辺の名所を巡る場合は、現地の道路状況や駐車場所、徒歩での移動時間も調べておくと安心です。

公共交通機関を利用する場合は、バスの乗り継ぎや運行本数に注意し、最新の時刻表を確認して計画を立てましょう。山あいの渓谷では、歩きやすい靴を用意し、天候や足元の状況に気を配りながら散策することをおすすめします。

滝と清流、歴史が息づく但馬の渓谷へ

久須部渓谷は、兵庫県香美町小代区の山あいに広がる、滝と清流、豊かな森林に恵まれた自然景勝地です。要滝や三段滝、鈴滝、荒滝、吉滝などの滝めぐりをはじめ、火山活動が生み出した地形や金山跡、水車の遺構など、自然と歴史の両面から楽しめます。

渓流釣りや山菜採り、地元食材を使った料理など、山里ならではの体験も魅力です。四季折々の風景に包まれながら渓谷を歩けば、自然の力強さと静けさを感じられるでしょう。小代の歴史や但馬牛ゆかりの文化にも思いを巡らせながら、但馬の豊かな自然を満喫してみてはいかがでしょうか。

Information

名称
久須部渓谷
(くすべ けいこく)

城崎・出石・湯村温泉

兵庫県