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竹中大工道具館

(たけなか だいく どうぐかん)

竹中大工道具館は、1984年(昭和59年)に竹中工務店が兵庫県神戸市中央区に開設した、日本で唯一の大工道具をテーマにした博物館です。この企業博物館は、公益財団法人竹中大工道具館によって運営されています。日本の伝統的な木造建築に使われる道具や技術を保存し、展示することを目的としています。

概要

博物館の設立と移転

竹中大工道具館は1984年に開館し、30年以上にわたって神戸市中央区中山手通4丁目に位置する旧館で活動していました。しかし、年月の経過とともに建物の老朽化が進み、収蔵庫も手狭になってきたことから、2014年(平成26年)にJR新神戸駅近くの神戸市中央区熊内町7丁目に新築・移転しました。新館は2014年10月4日に一般公開され、より多くの展示品や活動スペースを提供することが可能となりました。

運営形態の変遷

1989年(平成元年)11月には「財団法人竹中大工道具館」として正式に設立され、その後2009年には常設展示のリニューアルが行われました。また、2012年(平成24年)4月には「公益財団法人竹中大工道具館」に移行し、社会貢献の一環としての役割をさらに強化しました。

展示・収蔵物の特徴

道具の展示・収蔵

竹中大工道具館では、縄文時代から昭和に至るまでの木造建築に使用された道具の実物や複製品を収集・展示しています。展示品には、カンナやノミ、ノコギリ、墨掛道具のほか、石斧や鉄斧なども含まれており、訪れる人々はこれらの道具を通じて、日本の木工技術の進化と歴史を学ぶことができます。

「木組」技術の紹介

日本の伝統的な木造建築技術である「木組」は、釘をほとんど使わずに建築物を組み上げる技法です。竹中大工道具館では、この技術を原寸大で再現した展示が行われており、訪問者はその精巧さを目の当たりにすることができます。特に、国宝である唐招提寺金堂の組物を再現した高さ約7mの復元模型や、大徳寺玉林院の茶室「蓑庵」のスケルトン茶室が展示されており、日本の伝統的な建築技術の巧みさを体感できます。

映像展示と木工室

竹中大工道具館では、鎌倉時代の工事現場を描いた絵巻物をタッチパネルで操作し、動く映像として体験できる展示があります。これにより、大工道具の使い方や建築過程を分かりやすく学ぶことができます。また、木工室では、ベテランの宮大工や木工作家が指導する木工教室が開催されており、実際に木工作業を体験することができます。

新館の建築と特徴

建物の概要

新館の建物は、鉄筋コンクリート造り(一部鉄骨造り)で、地上1階・地下2階建てとなっています。延べ床面積は約1,884m2で、旧館の約1.8倍の規模に拡大されました。この新館は、竹中工務店の技術と伝統を反映したものであり、建物自体が一つの展示物としての役割を果たしています。

伝統技法を用いた建築技術

中庭に面した土壁は「版築壁」と呼ばれ、平らな壁をこてで削って凹凸を付ける伝統技法で仕上げられています。この技法は、西宮神社などでも用いられているもので、左官職人が手掛けたものです。また、中庭には江戸時代に使われていた「だるま窯」を復元した瓦が敷き詰められており、伝統技法の再現が随所に見られます。

茶室棟「一滴庵」の再現

新館には、大徳寺玉林院にある茶室「蓑庵」を模した茶室棟「一滴庵」も設けられています。この茶室は、数寄屋造りの技術を伝えるために建設されたもので、茶室棟全体が日本の伝統的な建築技術の宝庫となっています。その他にも、漆喰や奈良県産の杉材など、日本の伝統的な建築材料が用いられており、建物そのものが伝統技法の生きた展示物と言えるでしょう。

交通アクセス

竹中大工道具館へのアクセスは、JR新神戸駅から徒歩圏内であり、その他の交通手段としても非常に便利な立地にあります。歴史と伝統を感じられるこの博物館は、日本の建築技術や大工道具に興味のある方にとって、必見のスポットです。

Information

名称
竹中大工道具館
(たけなか だいく どうぐかん)

神戸・有馬(有馬温泉)

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