建築の歴史と概要
旧居留地38番館は、ウィリアム・メレル・ヴォーリズによって設計され、1929年にシティバンク神戸支店として建設されました。当初、1階はシティバンク、2階には独逸染料とバイエル薬品、3階には帝国酸素が入居していました。その後、ドイツ系企業が退去した後、2階と3階を帝国酸素が使用し、その後は大丸神戸店の倉庫や事務所として利用されていました。
旧居留地38番館の再生と転機
1986年1月、当時の大丸取締役であった長澤昭が神戸店の店長に着任したことが、この建物と旧居留地の運命を大きく変えました。若い女性客がそごう神戸店や梅田に流出していたため、長澤は対策を講じることを決意しました。彼はサザビーズを本館1階に誘致しようとしましたが、交渉は一度失敗に終わりました。しかし、後日サザビーズの社長が旧居留地38番館の建物を見た際、ここでの出店を提案しました。この結果、1987年3月1日にサザビーズによる複合店舗「リブ・ラブ・ウエスト」がオープンしました。
アメリカン・ルネッサンス様式の魅力
旧居留地38番館は、南側正面に4本のイオニア式円柱、東側面に7本の壁柱を持ち、石積みの外壁が特徴的なアメリカン・ルネッサンス様式の近代建築です。この建物は、大丸神戸店2号館・3号館と隣接しており、これらの建物とともに、100メートルにわたるクラシカルな外観が旧居留地の一角を形成しています。夜間にはライトアップされ、その美しさをさらに引き立てています。
交通アクセス
旧居留地38番館へのアクセスは、神戸市営地下鉄海岸線の旧居留地・大丸前駅から徒歩ですぐ、または阪神本線・JR神戸線の元町駅から徒歩5分と非常に便利です。
周辺の見どころ
旧居留地38番館は、神戸の旧居留地エリアに位置しており、その周辺には多くの見どころがあります。神戸らんぷミュージアム、KOBEとんぼ玉ミュージアム、神戸ドールミュージアム、THE FORTY FIFTH、大丸ミュージアム神戸(大丸神戸店店内)、ジーニアスギャラリー、旧居留地十五番館、神戸市立博物館など、文化的・歴史的な施設が多数点在しています。また、南京町や旧神戸住友ビル(現・銀泉神戸ビル)、神戸郵船ビルなども近隣にあり、観光スポットとしても人気です。