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有馬温泉

(ありま おんせん)

日本三古泉の名湯

有馬温泉は、兵庫県神戸市北区に位置する歴史ある温泉地です。その歴史は古く、清少納言の『枕草子』(1000年頃)にも登場し、道後温泉白浜温泉と並んで「日本三古湯」として知られています。

また、室町時代には草津温泉下呂温泉と並び「三名泉」のひとつとされ、江戸時代には温泉番付では西大関という最高の評価を受けた名湯です。有馬温泉は、瀬戸内海国立公園にも隣接しており、美しい自然環境に囲まれています。

有馬温泉の地質と泉質

断層と温泉の関係

有馬温泉は、有馬-高槻構造線という活断層帯に位置しており、この断層の影響で透水性の高い破砕帯を通じて温泉水が湧出しています。この地域では、東西走向の断層からは低温の温泉水が、南北走向の断層からは高温の温泉水が噴出しており、それぞれ異なる泉質を持っています。

金泉と銀泉

有馬温泉には「金泉(きんせん)」と「銀泉(ぎんせん)」と呼ばれる二つの主な泉質があります。

金泉(きんせん)

金泉は鉄分と塩分を多く含む含鉄塩化物泉で、湧出時には無色透明ですが、空気に触れると酸化し、赤褐色に変化します。
この独特の色から「金泉」と名付けられました。保湿効果が高く、冷え性やリウマチ、神経痛などに効能があるとされています。

銀泉(ぎんせん)

銀泉には炭酸水素塩泉放射能泉(ラドン泉)の2種類があり、いずれも透明で無色です。
炭酸水素塩泉は血行を促進し、疲労回復や美肌効果があるとされ、放射能泉は新陳代謝を活発にし、免疫力を高めるといわれています。

有馬温泉の起源と特徴

有馬温泉の温泉水は、深部上昇水と天水系のラドン泉の混合水から成り立っています。深部上昇水は、南海トラフからスラブとして沈み込んだフィリピン海プレートの岩石中に取り込まれた水が、地中深くで脱水し、地表へ噴出したものと考えられています。また、天水系のラドン泉は、六甲花崗岩の影響を受けた雨水が起源となっており、放射能泉としての性質を持っています。

有馬温泉の温泉街と文化

温泉街の風情

有馬温泉の温泉街は、六甲山地の北側に位置し、標高350〜500メートルの山峡に広がっています。坂道に沿って旅館やホテルが立ち並び、古くからの格子戸が残る情緒ある通りが広がっていて、古くからの街並みと現代的な宿泊施設が調和しています。また、「金の湯」や「銀の湯」といった公衆浴場もあり、訪れる人々に親しまれています。

公衆浴場「金の湯」と「銀の湯」

有馬温泉には、誰でも気軽に楽しめる公衆浴場として「金の湯」と「銀の湯」があります。

金の湯

金の湯では、赤褐色の金泉を楽しむことができます。特に寒い季節には体の芯から温まり、湯上がり後もポカポカとした温もりが持続します。

銀の湯

銀の湯は、無色透明の銀泉を使用した浴場で、炭酸水素塩泉の爽快な湯が特徴です。
じんわりと体を温める効果があり、心身のリフレッシュに最適です。

歴史的な背景と名所

有馬温泉には、数多くの歴史的建造物や名所があります。例えば、建久2年(1191年)に吉野の僧坊、仁西上人が建立した有馬十二坊は、多くの宿坊にその名を残しています。また、温泉寺、湯泉神社、妙見寺などの社寺も温泉街に点在しており、訪れる人々に歴史と文化を感じさせます。

温泉の行事とイベント

有馬温泉では、毎年1月2日に新年行事として「入初式」が行われます。この行事は、有馬温泉の繁栄と商売繁盛を祈願するもので、伝統的な儀式として続けられています。また、えびす神社の総本社である西宮神社で行われる「献湯式」も有馬温泉の重要な行事の一つです。

有馬温泉の名産品とお土産

有馬温泉の名物とお土産

有馬温泉には、炭酸煎餅や炭酸饅頭などの名産品があります。これらの製品は、温泉の成分を活かして作られており、訪れる観光客に人気があります。また、茶道具として用いられる有馬籠や、黒豆を使ったスイーツなども有馬温泉の名物として知られています。

炭酸煎餅

有馬温泉の代表的な名物として知られるのが「炭酸煎餅」です。
温泉水を使用した薄焼きの煎餅で、軽い口当たりとほのかな甘みが特徴です。

ウィルキンソン炭酸水の誕生

1889年、有馬温泉でイギリス人のジョン・クリフォード・ウィルキンソンが天然の炭酸鉱泉を発見しました。
その鉱泉をもとに開発されたのが、現在も人気の「ウィルキンソン タンサン」です。

有馬温泉の歴史

古代からの温泉地

有馬温泉の歴史は非常に古く、『釈日本紀』や『日本書紀』にもその名が見られます。日本神話では、大己貴命と少彦名命が傷を癒すために温泉を利用したと伝えられており、631年には舒明天皇が有馬温泉に滞在した記録があります。また、奈良時代には行基が温泉寺を建立し、温泉地としての基盤を築きました。

中世から近世にかけての発展

中世には清少納言が『枕草子』で有馬温泉に言及し、後白河法皇や建春門院もこの地を訪れています。1192年には僧仁西が荒廃していた有馬温泉を復興し、湯治場としての原型を作り上げました。

戦国時代には豊臣秀吉が有馬温泉を愛し、何度も訪れました。
彼は温泉街の整備を進め、庶民も利用しやすいように湯ぶねを拡張したといわれています。
その影響もあり、有馬温泉は「太閤の湯」とも呼ばれることがあります。

有馬温泉の観光スポット

太閤橋と秀吉像

有馬川にかかる太閤橋の近くには、豊臣秀吉の銅像があり、温泉街のシンボルとなっています。太閤橋と秀吉像、ねね橋とねね像が有馬川を挟んで向かい合うように設置されており、歴史的な名所として観光客に人気です。

杖捨橋の伝説

杖捨橋」には、温泉の効能で病が治った人々が使っていた杖を捨てたという伝説が残っています。
そのため、「この橋を渡ると健康になる」とも言われています。

結び

有馬温泉は、その豊かな歴史と多様な泉質、そして美しい自然環境によって、古くから多くの人々に愛されてきました。現在でも、多くの観光客が訪れるこの地は、日本を代表する温泉地の一つとして、その名を刻み続けています。皆様も、ぜひ有馬温泉を訪れ、その魅力を存分に味わってみてください。

Information

名称
有馬温泉
(ありま おんせん)
リンク
公式サイト
住所
兵庫県神戸市北区有馬町
電話番号
078-904-0708
アクセス

バス:
三ノ宮駅から30分 →「有馬温泉」バス停

鉄道:
三宮から北神急行で谷上まで35分 → 神戸電鉄有馬線「有馬温泉駅」

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