概要
須磨海水浴場の砂浜は約1.8kmにわたり広がり、百人一首にも詠まれた歴史ある海岸を持ちながら、現代の関西の夏のレジャーの中心地としても多くの人々に親しまれています。毎年、約80万人もの人々がこの海水浴場を訪れ、京都や大阪からの来訪者も多く見られます。
海水浴シーズンはおおむね7月上旬から8月中旬までで、シーズン前に毎年正式な期間が発表されます。この海水浴場は遠浅ではなく、遊泳可能なエリアは海岸線から約50メートルの範囲に限られています。また、潮が満ちてくると波が発生することがあり、シーズン中は16時半以降の海への入水はアナウンスにより禁止されます。
安全対策と規制
過去にはマナーの悪い若者が目立つことがあり、神戸市は「須磨海岸を守り育てる条例」を制定しました。この条例により、騒音や花火の規制、喫煙や入れ墨の露出禁止などの措置が取られました。さらに、海岸の再整備や砂浜の遠浅化工事、ユニバーサルデザインの導入による障がい者向けアクセスの整備も行われました。これらの取り組みが評価され、2019年4月には国際環境認証「ブルーフラッグ」を取得しました(国内4例目)。
エリアの紹介
須磨海水浴場は、大きく分けて3つのエリアに分かれています。それぞれのエリアには異なる特徴があります。
西エリア
JR神戸線須磨駅のすぐ近くに位置するアクセスの良いエリアで、砂浜が広がっています。2018年からはファミリーエリアが設けられ、子ども連れの家族が安心して遊べるよう、お酒の持ち込みや飲酒が禁止されています。
中央エリア
最寄り駅は山陽電鉄の須磨寺駅で、中心部に位置するエリアです。
東エリア
このエリアには、クラゲ除けネットを設置した「ファミリー遊泳エリア」があります。また、ブルーフラッグ取得に伴い、身体障害者専用の利便施設(シャワー、更衣室、トイレ)が整備されています。須磨海浜公園の駐車場が近く、車でのアクセスが容易です。
海の家
須磨海水浴場には、例年各エリアに約20軒前後の海の家が設置されます。これらの海の家では、脱衣所とシャワーの利用料が含まれており、大人1,000円、子供500円といった共通料金が設定されています。各海の家では客引きが行われており、海の家の利用料を節約するために須磨駅の便所や民家の路地裏で着替えをする海水浴客も少なくありません。
海の家の営業期間は海水浴シーズンとは異なり、7月の海開き前から8月31日まで営業しています。かつては、関西テレビの関連会社が「ハチエモン茶屋」という海の家を運営していました。
来場者数
近年、須磨海水浴場の利用者数は減少傾向にあります。2018年シーズンには約45万3千人、2019年には約24万1千人の利用者数を記録しました。これは、ピーク時の2002年(約138万6千人)と比べると、約2割まで減少しています。梅雨明けの遅れやお盆時期の台風の影響も一因とされています。しかし、ファミリーエリアの拡大により、同エリアには前年比4倍の約6万3千人が訪れました。
交通アクセス
公共交通機関
須磨海水浴場へのアクセスは以下の通りです。
- JR神戸線:須磨駅すぐ(西エリア)、須磨海浜公園駅より徒歩5分(東エリア)
- 山陽電鉄:山陽須磨駅より徒歩1分(西エリア)、須磨寺駅より徒歩1分(中央エリア)、月見山駅より徒歩15分(東エリア)
自家用車
大阪方面からは阪神高速3号神戸線の若宮出入口、明石・姫路方面からは第二神明道路の須磨インターチェンジが最寄りです。須磨海浜公園駐車場は海水浴場利用者にとって便利ですが、土曜日や休日・お盆のハイシーズンには駐車待ちの列ができることがよくあります。周辺には民営のコインパーキングや時間貸し駐車場もありますが、満車になりやすく、特に海水浴シーズン中は特別料金が設定されることもあります。また、周辺道路では頻繁に駐車違反の取り締まりが行われています。