ポートアイランドの概要
都市機能を備えた先進的な人工島
ポートアイランドは、神戸大橋および港島トンネルによって神戸市中心部と結ばれており、住宅、商業施設、港湾機能を備えた総合的な都市です。この島は、1981年に完成した当時、世界最大の人工島として注目を集めました。「山、海へ行く」というキャッチコピーのもと、六甲山地の土砂を利用して瀬戸内海を埋め立てる方法で建設されました。
歴史と構想
ポートアイランドの構想は1963年に浮上し、1966年には正式に着工されました。1981年の街びらきに合わせて開催された「神戸ポートアイランド博覧会(ポートピア'81)」では、予想を大幅に上回る入場者数を記録し、地方博の成功例として知られています。
先進的な技術とデザイン
計画・設計
ポートアイランドの計画と設計は、建築家・都市計画家の水谷頴介が担当しました。この島は、世界初の技術を用いて建設され、多くの都市計画に先駆的な影響を与えました。1980年度には日本都市計画学会石川賞および土木学会技術賞を受賞し、さらに2005年度と2008年度には全日本建設技術協会全建賞も受賞しています。
埋立工法と開発
ポートアイランドの埋立工法や街区開発には、サンドドレーン工法やプレロード工法、振動締固め工法など、当時の最先端技術が用いられました。また、ポートアイランドのメインストリート「ポートピア大通り」は、「新・日本街路樹100景」に選ばれ、島内の3か所が「神戸らしい眺望景観50選」にも選出されています。
第2期地区と医療産業都市
第2期地区の開発
1987年にはポートアイランドの南側に位置する第2期地区の建設が開始され、1998年にはこの地区が「神戸医療産業都市 (KBIC)」に指定されました。この地区は、国内最大級の医療クラスターとしても知られ、次世代スーパーコンピュータ「京」や「富岳」の誘致に成功するなど、研究・技術開発の拠点としても注目されています。
震災からの復興
1995年に発生した阪神・淡路大震災では、ポートアイランドも液状化現象などにより甚大な被害を受けましたが、迅速な復旧作業が行われ、現在では震災前の水準を超える取扱量を誇る港湾機能を回復しています。また、震災を乗り越えた後も、新たな街づくりが進められています。
教育と都市再生
教育機関の発展
ポートアイランドでは、教育面でも先進的な取り組みが行われており、2002年には「神戸ポートアイランド西地域」が都市再生緊急整備地域に指定されました。この再開発により、ポートアイランドには多くの大学や高等学校が設立され、神戸市内有数のキャンパスゾーンが形成されています。
義務教育学校の設立
2016年には、これまでの小中一貫教育の取り組みが制度的に認められ、日本初の義務教育学校がポートアイランドに設立されました。これにより、教育環境のさらなる充実が図られています。
港島の歴史
構想と建設の背景
戦後の高度経済成長期に、神戸港の港湾貨物の取扱量が急増し、それに伴い入港船の滞船が慢性化していました。神戸市は港湾施設の増強に努めるものの、さらなる施設の拡充が必要とされ、新たな埠頭の建設が計画されました。
5つの開発目標
ポートアイランドの開発にあたっては、以下の5つの目標が掲げられました。
- コンテナバースの建設
- 定期船バースの増加
- 専用貸付方式の導入
- 高度な機械化荷役の推進
- 都市再開発用地の確保と整備
これらの目標に基づき、ポートアイランドは神戸港の南にE字型の人工島として計画されました。埋立工事は1966年に着工され、15年の歳月をかけて完成しました。
ポートアイランドの完成とその後
街びらきと成功
1981年2月4日、ポートアイランドの合同完工式が行われ、埋立面積436ha、総事業費5,300億円という規模で完成しました。まちびらきに合わせて開催された「ポートピア'81」では、地方博内で最多の入場者数を記録し、大成功を収めました。この成功は、後の地方博ブームの先駆けとなりました。
主要施設
商業施設・展示場・ホール
ポートアイランドには、多目的ホールや国際会議場など、さまざまな商業施設やイベント会場があります。
神戸コンベンションコンプレックス
国内最大規模のコンベンションゾーンであり、国際的な会議や展示会が開催されます。
- 神戸国際交流会館
- 神戸国際会議場
- 神戸国際展示場
- 神戸ポートアイランドホール(ワールド記念ホール)
- ポートピアホール
- 神戸商工会議所会館
その他の商業施設
- 神戸ファッションタウン
- ジーベックホール
- イケア神戸
- 東京インテリア家具神戸店
娯楽施設
家族連れや観光客に人気の施設が充実しています。
- 神戸市立ポートアイランドスポーツセンター - スケートリンクなどを備えた総合スポーツ施設
- 神戸市立青少年科学館(バンドー神戸青少年科学館) - 体験型の科学学習施設
- UCCコーヒー博物館 - コーヒーの歴史や文化を学べる博物館
- 神戸どうぶつ王国(旧神戸花鳥園) - ふれあい型動物園
- みなと異人館 - 北野町から移設された歴史ある異人館
- アシックススポーツミュージアム - スポーツ用品メーカーの展示施設
- ポートアイランドゴルフ倶楽部
- セレゾンポーアイフットサルクラブ
研究施設
ポートアイランドは医療産業や科学技術の拠点としても注目されています。
医療関連施設
- 神戸キメックセンタービル (KIMEC)
- 先端医療センター (IBRI)
- 神戸臨床研究情報センター (TRI)
- 神戸低侵襲がん医療センター (KMCC)
- 国際医療開発センター (IMDA)
科学技術関連施設
- 理化学研究所 神戸事業所
- 計算科学研究機構(AICS) - スーパーコンピュータ「富岳」
宿泊施設
- 神戸ポートピアホテル - 神戸を代表する高級ホテル
- ホテルパールシティ神戸
- アリストンホテル神戸
公園・緑地
自然を感じられるスポットも多数存在します。
- ポートアイランド北公園
- ポートアイランド中公園
- ポートアイランド南公園(希望・ドリーム球場)
- ポートアイランド西公園(ポーアイしおさい公園)
- ポートアイランド中央緑地公園
アクセス
鉄道
ポートアイランドへは新交通システム「ポートライナー」が主要な交通手段です。
- 神戸新交通ポートアイランド線(ポートライナー)
- 主要駅: 中公園駅、みなとじま駅、市民広場駅、南公園駅 など
バス(BRT・路線バス)
ポートライナーの混雑緩和を目的に、BRT(バス高速輸送システム)が導入される可能性が検討されています。
- 神姫バス(三宮~MOL、神戸駅南口~中央市民病院)
- 神戸交通振興(ポーアイキャンパス線)
道路
ポートアイランドは複数の橋やトンネルによって神戸市内とアクセスが可能です。
- 神戸大橋 / ポートピア大橋
- 神戸港港島トンネル
- 神戸空港島連絡橋(神戸スカイブリッジ)
- 阪神高速3号神戸線・5号湾岸線
まとめ
ポートアイランドは、商業施設、娯楽施設、研究施設、緑地など多彩な魅力を備えたエリアです。 交通の利便性も高く、観光だけでなくビジネスや研究活動の拠点としても重要な役割を果たしています。 神戸を訪れる際には、ぜひポートアイランドの魅力を体験してみてください。