六甲高山植物園の概要
六甲高山植物園は、1933年6月24日に植物学の第一人者である牧野富太郎博士の指導を受けて開園しました。1955年には、博物館相当施設に指定され、その学術的な価値が認められています。現在、阪急阪神ホールディングス傘下の阪神電気鉄道が直営し、2003年以降は子会社の六甲山観光が運営を担当しています。
六甲山の冷涼な気候を活かし、園内では北海道並の年平均気温約9℃が保たれており、この環境でしか育たない植物たちが数多く展示されています。
主な栽培植物と見頃
六甲高山植物園では、季節ごとに様々な植物が美しい花を咲かせます。その中でも特に注目すべき植物を以下に紹介します。
- クリンソウ - 5月に見頃を迎える美しい花です。
- ミズバショウ - 4月に水辺を彩る植物。
- コガネミズバショウ - 4月下旬に咲き誇ります。
- ヒマラヤのシャクナゲ - 4月の見頃に美しい花を咲かせます。
- メコノプシス・ベトニキフォリア(ヒマラヤの青いケシ) - 5月にその神秘的な青い花が見られます。
- セイヨウウスユキソウ(別名:エーデルワイス) - 6月の見頃にその姿を現します。
- ニッコウキスゲ - 7月から8月にかけて群生し、鮮やかな黄色い花を咲かせます。
- ヒゴタイ - 8月に絶滅危惧種として貴重な姿を見せます。
- フジアザミ - 9月の見頃には大きな紫色の花を楽しむことができます。
- ドウダンツツジ - 10月には紅葉が美しい景観を作り出します。
六甲高山植物園の施設とエリア
園内には、様々な植物を楽しめるエリアや休憩所が設けられています。以下は主な施設とエリアの紹介です。
- 湿性植物区 - 湿地帯に自生する植物を楽しめるエリア。
- 樹林区 - 樹木が立ち並ぶエリアで、夏には涼しい木陰が広がります。
- ロックガーデン - 岩場に適した高山植物が栽培されています。
- アルパインハウス - 高山植物を展示するための温室。
- プリンスブリッジ - 昭和天皇や皇室が訪れた際に名付けられた橋で、園内の象徴的なスポットです。
飲食・休憩施設
六甲高山植物園では、植物観察の合間にリラックスできるカフェやショップも充実しています。
- 映像館 - 植物に関する映像を楽しめる施設。
- ショップ「アルピコラ」 - 植物や園内で見られる植物に関連したグッズが購入できます。
- ワイルドフラワーショップ - 野花に関するアイテムが揃います。
- 山小屋カフェ「エーデルワイス」 - アルプス風のカフェで、リラックスしながら軽食が楽しめます。
- ブナカフェ - 夏期限定で営業しているカフェです。
皇室と六甲高山植物園の関わり
六甲高山植物園は、その学術的な価値から皇室との関わりが深く、昭和天皇をはじめ多くの皇族が訪れています。1958年には上皇が皇太子時代に訪れた際、園内に架けられた吊橋には「プリンスブリッジ」と名付けられました。また、1971年には今上天皇が立太子前に訪問し、1981年には昭和天皇が神戸ポートアイランド博覧会視察の際に再び訪問されました。
昭和天皇の訪問を記念した碑が園内に設置されており、特に昭和天皇が興味を示されたエンコウソウ群落の一部は、皇居吹上御苑に献上されました。園内には、皇室三代にわたる訪問を記念した植樹も行われています。
六甲高山植物園とスイスとの提携
2008年6月、六甲高山植物園はスイスのシーニゲプラッテ高山植物園と姉妹提携を結びました。これは日本とスイスの植物園同士で初の姉妹提携であり、両国の文化交流の一環として、園内の道標がスイス風にデザインされたり、スイス国旗や州旗が掲げられるなどのイベントが行われています。
利用情報
六甲高山植物園は、毎年3月中旬から11月中旬まで開園しており、開園時間は10:00から17:00までです(最終入園時間は16:30)。木曜日は休園日ですが、4月から8月は無休で営業しています。交通アクセスは、六甲ケーブル「六甲山上駅」から六甲山上バス「高山植物園」バス停で下車してすぐの場所にあります。
周辺施設
六甲高山植物園の隣には、ROKKO森の音ミュージアムがあり、自然の中で音楽と触れ合える施設も楽しめます。植物園の見学と合わせて訪れてみてください。
このように、六甲高山植物園は、学術的価値が高いだけでなく、訪れる人々に四季折々の自然の美しさを提供する素晴らしい場所です。歴史と自然が調和するこの場所で、特別なひとときを過ごしてみてはいかがでしょうか。