概要
与位の洞門は、揖保川の絶壁に面しており、その周辺は「下乢の奇岩(しもほきのきがん)」と呼ばれる場所です。この地域は古くから交通の難所として知られており、宍粟の奥地へのアクセスが困難でした。また、田井の橋渡し付近とともに奇勝としても有名です。
歴史的背景
かつて、岩端には桟橋が架けられて通行していましたが、洪水時にはその桟橋が流されることがありました。このため、1903年(明治36年)頃に、地元の村人たちによって2年間をかけて隧道が掘削されました。1926年(昭和元年)には荷車が通れるように拡張され、さらに1968年(昭和43年)には大型自動車が通行可能なように改良工事が施されました。
『宍粟郡誌』の記述
『宍粟郡誌』(大正12年)には以下のように記されています。
「田井より与位に至る途、揖保川の清流山脚を洗う処に二個の巨巖あり、其の形頗る奇なり。巖頭には老松枝を伸べて空に翻り、断崖数十尋、羊歯岩松の類これに叢生し、下部は碧潭に臨みて倒映の景奇絶なり。もと桟橋を架して風到を添えたりしたが、今は隧道を穿ちて奇いよいよ加われり」
対岸からは、岸壁に桟橋の腕木を差し込んだ四角い穴が今でも確認できます。かつては増水時にこの地域が陸の孤島化することもありましたが、国道29号山崎町田井からのバイパスとして「よいたいトンネル」が開通したことで、その問題は解消されました。
所在地
与位の洞門は、以下の住所に位置しています:
兵庫県宍粟市山崎町与位1番地の1交通アクセス
自動車でのアクセス
中国自動車道山崎インターチェンジから国道29号を北へ約10キロメートル進むと到着します。
周辺情報
与位の洞門周辺には、地域の観光スポットとして「しそう よい温泉」があります。与位地区にあるこの温泉は、洞門の見学ついでに立ち寄るのに最適な場所です。