館の歴史と設計
姫路文学館は、姫路市が播磨地方の文学者たちの資料を収集する目的で設立しました。1991年に開館した北館は、主に地元の文学者に関連する展示を行っています。その後、1996年には南館が開館し、施設の規模が拡大しました。設計は安藤忠雄が手がけ、鉄骨鉄筋コンクリート造の近代的な建築様式で、北館は地上3階・地下1階、南館は地上2階・地下1階の構造となっています。
館内の施設と展示内容
北館
北館には、播磨地方の文化を古代から幕末まで紹介する「播磨曼荼羅」が展示されており、半円形の壁面にその歴史が描かれています。また、椎名麟三や和辻哲郎、阿部知二など、地元ゆかりの文人たちの作品と生涯を紹介する「文人展示室」も設置されています。230席を備えた講堂や閲覧室もあり、学術的な講演やイベントにも対応しています。
南館
南館では、司馬遼太郎記念室や150インチのスクリーンを備えた映像展示室があり、文人たちの映像資料が楽しめます。また、図書室では文学に関する資料が閲覧でき、落ち着いた雰囲気の中でじっくりと学べる環境が整っています。
望景亭
望景亭は、もともと姫路市内の実業家、濱本八治郎の別邸として大正時代に建てられた和風建築です。日本庭園と茶室を備え、静かな佇まいを見せるこの建物は、賀陽宮憲王が居住していたこともあり、皇族がしばしば訪れる場所としても知られています。庭園には三笠宮崇仁親王が植えたしだれ桜があり、春には美しい景色が広がります。裏千家十五世千宗室が命名した「雄徳庵」と名付けられた茶室もあります。
建築の特徴
姫路文学館の建物は、その斬新な設計で知られ、特に安藤忠雄が手がけた北館と南館は、コンクリートの美しい曲線と光の演出が特徴的です。北館は鉄骨鉄筋コンクリート造で延床面積は3,815m²、南館は鉄筋コンクリート造で延床面積は2,533m²となっています。望景亭の和室や茶室、石垣などは国の登録有形文化財に指定され、その歴史的価値も認められています。
特別展とイベント
姫路文学館では、毎年4〜5回の企画展や特別展が開催されています。展示内容は純文学系のものだけでなく、「ぞうのエルマー絵本原画展」(2023年)や「とびだせ!長谷川義史展」(2022年)など、児童書に関連する展示も行われ、幅広い層に親しまれています。これらの展示は、文学に親しむきっかけを提供するだけでなく、家族連れで楽しめるイベントとしても人気があります。
アクセス情報と周辺観光地
姫路文学館は、JR姫路駅および山陽電車の山陽姫路駅から徒歩20分の場所にあります。また、姫路城や好古園、兵庫県立歴史博物館、姫路市立美術館、日本城郭研究センターなど、周辺には歴史的・文化的な観光スポットが多数あります。これらの施設と併せて訪れることで、姫路の歴史と文化をより深く楽しむことができます。