童謡の小径 — 名曲に出会う散策路
白鷺山公園を代表する見どころの一つが、山頂を縦断する「童謡の小径」です。たつの市出身の詩人・三木露風が作詞した童謡「赤とんぼ」にちなんで名付けられました。
たつの市は1984年10月に「童謡の里」を宣言し、1987年7月には全国から募集した「あなたの好きな童謡」の上位8曲を紹介する歌碑と遊歩道を白鷺山に整備しました。歌碑には、それぞれの作詞者の出身地にゆかりのある石が用いられています。石碑に近づくと童謡のメロディーが流れる仕組みになっており、懐かしい名曲を楽しみながら歩くことができます。
童謡の歌碑
「赤とんぼ」は、三木露風が作詞し、山田耕筰が作曲した名曲です。歌碑には作詞者の胸像も設けられており、たつの市と童謡文化の深いつながりを感じられます。
「里の秋」は斎藤信夫作詞、海沼實作曲の童謡です。歌碑には根府川石が用いられ、作詞者の直筆が残されています。
「夕焼小焼」は中村雨紅作詞、草川信作曲の作品です。小松石で造られた歌碑に、作詞者の直筆が記されています。
「七つの子」は野口雨情作詞、本居長世作曲の童謡です。小豆畑石を用いた歌碑には、作詞者の弟子である古茂田の筆による文字が刻まれています。
「ちいさい秋みつけた」はサトウハチロー作詞、中田喜直作曲の作品です。こうが石で造られた歌碑には、作詞者の妻・房枝の直筆が残されています。
「みかんの花咲く丘」は加藤省吾作詞、海沼實作曲の童謡です。柿木石で造られた歌碑に、作詞者の直筆が記されています。
「月の沙漠」は加藤まさを作詞、佐々木すぐる作曲の名曲です。こちらも柿木石を用いた歌碑が設けられています。
「叱られて」は清水かつら作詞、弘田龍太郎作曲の童謡です。安芸石とごこう石を用いた歌碑には、作詞者の娘・恵子の筆による文字が刻まれています。
歌碑を巡りながら童謡に耳を傾けると、幼い頃に親しんだメロディーや、日本の童謡文化の豊かさを改めて感じられます。自然の中を歩きながら音楽や文学に親しめる、白鷺山公園ならではの散策スポットです。
哲学の道 — 哲学者・三木清を偲ぶ道
白鷺山公園には、「童謡の小径」と並ぶ散策路として「哲学の道」があります。山の南側中腹に位置し、哲学者・三木清の記念碑が設けられています。
木々に囲まれた道を歩きながら、静かな自然の中で思索にふけることができる場所です。童謡の小径が音楽や詩の世界を楽しむ道であるのに対し、哲学の道では文学や思想に思いを巡らせながら、落ち着いた時間を過ごせます。
五月の台広場 — 森の中でひと休み
哲学の道の南側には、五月の台広場が広がっています。静かな森に囲まれた広場は、散策の途中にひと休みしたり、自然の空気を感じながらゆっくり過ごしたりするのに適した場所です。
さらに南へ林道を下ると、粒坐天照神社の境内へと続きます。公園の散策と神社への参拝を組み合わせれば、たつのの自然と歴史を一度に楽しめます。
国民宿舎赤とんぼ荘と展望スポット
白鷺山公園には、かつて国民宿舎赤とんぼ荘がありました。1962年に龍野市が運営する公営宿舎として開業し、兵庫県内で最初の国民宿舎として多くの観光客に親しまれてきました。
建物の7階にあった展望レストランからは龍野城の城下町を一望でき、館外の展望台からは揖保川や中国山地を遠くまで見渡せました。また、玄関前には童謡の小径の入口があり、宿泊や食事と散策を組み合わせられる施設として利用されていました。
しかし、赤字経営が続いたことに加え、新たな指定管理者が見つからなかったことなどから、2021年3月末をもって休業しました。訪問の際は、過去の施設情報と現在利用できる設備を区別し、散策路や展望スポットを中心に楽しむとよいでしょう。
白鷺山墳墓群 — 古代の歴史を伝える遺跡
白鷺山公園には、古墳時代に築かれたと推定される白鷺山墳墓群があります。1961年の発掘調査では、2基の古墳から人骨と銅鏡2面が発見されました。銅鏡はたつの市指定文化財となっており、この地域に古代から人々の営みがあったことを伝えています。
また、粒坐天照神社の近くには、横穴式石室が開口した狐塚古墳があります。こちらもたつの市指定史跡で、古代の埋葬文化や地域の歴史を知るうえで貴重な遺跡です。
童謡や哲学に親しむ散策路に加え、古墳時代の遺跡も残されていることは、白鷺山公園の大きな特徴です。自然の中を歩きながら、たつのの歴史が古代にまでさかのぼることを感じられます。
春の桜とツツジ、四季折々の自然
白鷺山公園は、春の桜やツツジの名所としても知られています。花が咲く季節には山の緑と色鮮やかな花々が調和し、散策路を歩きながら春らしい景色を満喫できます。
春以外の季節にも、木々の緑や移り変わる自然の表情を楽しめます。童謡の小径や哲学の道をゆっくり歩き、歌碑や記念碑を巡りながら、季節ごとの風景を味わってみてください。
白鷺山公園の基本情報とアクセス
白鷺山公園の面積は約1.5ヘクタールです。所在地は兵庫県たつの市龍野町中霞城で、JR姫新線の本竜野駅から徒歩約30分でアクセスできます。
園内には散策路や広場、展望スポットなどがあり、自然を楽しみながら歩くことができます。徒歩で訪れる場合は、移動時間を考慮し、歩きやすい靴で出かけると安心です。
周辺の見どころ
龍野公園
白鷺山公園の北側に隣接する龍野公園は、桜や紅葉など四季の自然を楽しめる公園です。周辺の散策とあわせて訪れることで、たつのの自然をより満喫できます。
粒坐天照神社
粒坐天照神社は、白鷺山公園の南側に位置する由緒ある神社です。公園から林道を通って境内へ向かうことができ、自然散策と歴史ある神社への参拝を組み合わせられます。
龍野城跡と城下町
龍野城跡や周辺の城下町には、たつのの歴史を感じさせる見どころが残されています。白鷺山公園で自然や童謡文化に触れた後、城跡や町並みを巡れば、地域の歴史と文化をより深く知ることができます。
自然・文学・歴史を楽しめる白鷺山公園
白鷺山公園は、春の花々や豊かな緑を楽しめるだけでなく、「童謡の小径」で日本の名曲に親しみ、「哲学の道」で思索の時間を過ごし、古墳群から古代の歴史を学べる魅力的な公園です。
龍野公園や粒坐天照神社、龍野城跡などの周辺スポットとあわせて巡るのもおすすめです。たつの市を訪れた際には、自然の中をゆっくり歩きながら、童謡や歴史、地域に受け継がれてきた文化に触れてみてはいかがでしょうか。