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姫路市立 美術館

(ひめじ しりつ びじゅつかん)

姫路城のそばに佇む赤レンガ造りの美術館

姫路市立美術館は、兵庫県姫路市の姫路公園内に位置する美術館です。世界遺産・姫路城に隣接し、歴史ある城郭の景観と美術鑑賞をあわせて楽しめる文化施設として親しまれています。1983年に開館し、地域の芸術文化の振興と、美術作品の収集・保存・展示に取り組んできました。

美術館の大きな魅力は、明治時代の面影を残す赤レンガ造りの建物です。歴史的な建築美に加え、日本の近現代美術や西洋美術、ベルギー美術など、幅広いコレクションを鑑賞できます。屋外の庭園にも彫刻作品が展示されており、建築と芸術、自然が調和した空間を楽しめます。

歴史を受け継ぐ赤レンガ造りの建築

姫路市立美術館の建物は、もともと1905年に姫路陸軍兵器支廠(のちの第十師団兵器部)の西倉庫として建設されたものです。1913年には増築され、その後、戦後には姫路市役所として利用されました。時代とともに役割を変えながら受け継がれてきた建物が、美術館として新たな歴史を歩み始めたのは1983年のことです。

美術館への再生にあたっては、歴史的な建築の魅力を生かした整備が行われました。その優れた景観は評価され、環境色彩10選や公共の色彩賞を受賞しています。さらに、2003年には国の登録有形文化財に登録され、建築史の観点からも価値のある建物として保存されています。

赤レンガの壁面と落ち着いた外観は、白壁が印象的な姫路城とは異なる魅力を放ちます。美術館の建物群は、姫路城の中曲輪内北部に広がる幾何学式庭園を囲むように配置され、周囲の緑と美しい調和を見せています。

夜間には建物がライトアップされ、昼間とは異なる幻想的な景観を楽しめます。姫路城周辺を散策する際には、歴史的な建築そのものにも注目してみてください。

美術館の施設と楽しみ方

館内には、さまざまな美術作品を鑑賞できる展示室のほか、芸術に親しむための施設が整備されています。企画展や常設展示を通じて、多彩な作品と出会えるのが魅力です。

主な施設

館内には、常設展示室、企画展示室、ギャラリー、講堂、アートライブラリーなどがあります。ミュージアムショップでは美術に関連する商品を楽しめ、喫茶室では鑑賞の合間にひと休みできます。

屋外の庭園には彫刻作品も展示されており、館内の展示とは異なる形で芸術に触れられます。建物の外観や庭園の景色を楽しみながら、ゆっくりと美術館を巡るのもおすすめです。

多彩なコレクションと収集方針

姫路市立美術館では、地域の芸術文化を伝える作品から海外の近現代美術まで、幅広い分野の作品を収集しています。コレクションは、主に次の三つの方針に基づいて構成されています。

1. 姫路や地域にゆかりのある美術

姫路をはじめとする地域に関係する美術作品や、歴史・風俗を伝える作品を収集しています。作品を通して、地域の文化や人々の暮らし、歴史的な背景に触れることができます。

2. 日本の近現代美術

日本の近現代美術を幅広く収集し、時代ごとの表現や芸術の発展を紹介しています。日本画や洋画など、多様な作品を通じて、日本の美術文化の魅力を知ることができます。

3. ベルギーを中心とした海外の近現代美術

海外美術の中でも、特にベルギー美術に力を入れていることが特徴です。姫路市はベルギーのシャルルロワ市と姉妹都市関係にあり、こうした交流がコレクションの形成にもつながっています。所蔵するベルギー美術作品は約350点にのぼり、ベルギーの近代美術を概観できる貴重なコレクションとなっています。

また、地元の医師・國富奎三氏が収集した近代西洋美術コレクションも重要な見どころです。このコレクションは、姫路城の世界遺産登録に合わせて1994年に寄贈されました。国内外の多彩な作品を通じて、西洋美術の歴史や表現の変化を楽しめます。

見逃せない主な所蔵作品

西洋絵画の名作

姫路市立美術館には、19世紀から20世紀にかけての西洋絵画を中心に、著名な画家たちの作品が所蔵されています。風景画から印象派の作品、近代絵画まで、多様な表現に触れられるのが魅力です。

主な所蔵作品には、ジャン=バティスト・カミーユ・コローの「湖」(1860年頃)、ギュスターヴ・クールベの「波」(1870年頃)、クロード・モネの「アルジャントゥイユの泊地の夕日」(1874年)などがあります。

さらに、エドガー・ドガの「浴室の裸婦(浴槽の女)」(1882~1883年頃)や、モーリス・ユトリロの「サン・メダール教会とムフタール通り」(1913年)も知られています。画家ごとの色彩や筆づかい、対象の捉え方を比較しながら鑑賞するのもおすすめです。

ベルギー美術のコレクション

ベルギー美術のコレクションも、姫路市立美術館を特徴づける重要な収蔵分野です。19世紀から20世紀にかけての象徴主義やシュルレアリスムなど、多様な芸術の流れを感じられる作品がそろっています。

主な作品には、フェリシアン・ロップスの「古い物語」(1867年)、フェルナン・クノップフの「天井画-絵画、音楽、詩歌」(1880年)、ジャン・デルヴィルの「レテ河の水を飲むダンテ」(1919年)があります。

また、ベルギーを代表するシュルレアリスムの画家ルネ・マグリットの「観光案内人」(1947年)や、ポール・デルヴォーの「海は近い」(1965年)も注目される作品です。現実と幻想が交差する独特の表現や、象徴的なモチーフを通して、ベルギー近現代美術の奥深さに触れることができます。

貴重な版画コレクション

版画の分野では、スペインの画家フランシスコ・デ・ゴヤによる四つの連作版画集が重要な見どころとなっています。「気まぐれ」「闘牛技」「戦争の惨禍」「妄」の各シリーズを所蔵し、初版のセットも含まれています。社会や人間の姿を鋭く捉えたゴヤの表現を知るうえで、貴重なコレクションです。

さらに、アンリ・マティスの版画作品集「ジャズ」(1947年)も所蔵されています。全20点がそろった作品集で、エディションナンバー26の希少なセットとして知られています。鮮やかな色彩と大胆な構成が特徴的なマティスの芸術を、版画という表現方法から鑑賞できます。

日本画・洋画の名作

日本の絵画作品も充実しており、伝統的な日本画から近代洋画まで幅広い作品を鑑賞できます。日本画では、酒井抱一の「集外三十六歌仙」や、橋本関雪の「南国」(1913年)などが所蔵されています。

洋画では、藤島武二の「台湾の官女」(1920年)や、小磯良平の「和服の婦人像」(1935年)などが知られています。日本の近代美術が西洋の表現を取り入れながら発展してきた過程にも思いを巡らせることができます。

彫刻作品

彫刻のコレクションでは、オーギュスト・ロダンやアントワーヌ・ブールデルなど、近代彫刻を代表する作家の作品が見どころです。

ロダンの「歩く男」(1878年)や、ブールデルの「うずくまる浴女」(1906~1907年)などが知られています。絵画とは異なり、立体的な造形や人体の動き、量感をさまざまな角度から味わえるのが彫刻鑑賞の魅力です。屋外庭園の彫刻作品とあわせて楽しむのもよいでしょう。

姫路市立美術館へのアクセス

姫路市立美術館は、姫路城に隣接する姫路公園内にあり、姫路城観光とあわせて訪れやすい立地です。

JR姫路駅または山陽電車の山陽姫路駅からは、徒歩約18分が目安です。バスを利用する場合は、姫路駅から神姫バスに乗車し、「姫山公園国立病院美術館前」停留所で下車すると、すぐ近くに到着します。

開館時間と観光のポイント

案内されている開館時間は10時から17時までで、入館は閉館30分前までとなっています。企画展や施設の利用状況によって案内が異なる場合があるため、訪問前に最新の開館情報や展示スケジュールを確認しておくと安心です。

美術館の周辺には、世界遺産の姫路城をはじめ、日本庭園の好古園や兵庫県立歴史博物館など、見どころの多い観光スポットが集まっています。姫路城の歴史を学び、好古園で庭園の美しさを味わい、姫路市立美術館で国内外の芸術に触れるなど、文化をテーマにした一日観光にも適しています。

姫路城観光とあわせて楽しむ芸術のひととき

姫路市立美術館は、明治時代の赤レンガ建築と、国内外の豊かな美術コレクションを楽しめる文化施設です。ベルギー美術をはじめ、西洋絵画、日本画、洋画、版画、彫刻など、多彩な作品を通して芸術の魅力に触れられます。

歴史的な建物そのものにも見応えがあり、庭園の彫刻や夜間のライトアップなど、展示室の外にも楽しみが広がっています。姫路城周辺を訪れる際には、ぜひ立ち寄って、歴史と芸術が調和する落ち着いた時間を過ごしてみてください。

Information

名称
姫路市立 美術館
(ひめじ しりつ びじゅつかん)

姫路・赤穂

兵庫県