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大手前通り(姫路市)

(おおてまえ どおり)

大手前通りは、兵庫県姫路市に位置する、JR山陽本線姫路駅から姫路城大手門(桜門)前の姫路城前交差点に至る、全長約840m・幅員50mの街路です。この通りは「日本の道100選」にも選ばれており、姫路市の主要な観光名所である姫路城の景観を引き立てる重要な役割を果たしています。通りは姫路城下町の中曲輪および外曲輪の範囲にあり、その歴史的な背景と現代的な都市計画が見事に融合しています。

景観と特徴

大手前通りは、姫路駅北口から世界文化遺産である姫路城を真正面に望めるメインストリートとして知られています。道路の幅員は50mであり、全線にわたって無電柱化されているため、姫路城の美しい景観を損なわないように設計されています。

両側の歩道にはクスノキとイチョウの並木が続いており、これにより四季折々の自然の美しさが楽しめます。また、この通りは読売新聞社が選定する「新・日本街路樹100景」にも選ばれており、その景観は高く評価されています。通り沿いには多数のブロンズ像が設置されており、観光客や市民が憩いの場として親しんでいます。

商業施設と交通アクセス

大手前通りの両側には山陽百貨店や、かつて存在したヤマトヤシキ姫路店(2018年2月28日に閉業)などの百貨店、そして銀行などが立ち並び、商業活動の中心地としても機能しています。

また、神姫バスのほぼ全ての路線がこの通りを通過し、姫路中心市街地と近郊各地域を結ぶ重要な交通の要所となっています。

歴史

戦災復興と都市計画

姫路市中心部は、1945年(昭和20年)7月3日の姫路大空襲により甚大な被害を受けました。その後、第二次世界大戦後の戦災復興土地区画整理事業の一環として、姫路城と姫路駅を結ぶ道路(現在の大手前通り)の拡幅が計画されました。この計画は、1949年(昭和24年)9月に着工され、1955年(昭和30年)2月20日に完成式典が行われました。

当初、この道路は「五十米道路」と仮称されていましたが、一般公募により「大手前通り」という名称が選ばれました。この名称は、歴史的な背景と、姫路城への敬意を表すものとして、多くの市民に受け入れられました。

整備事業と景観保護

1955年の完成当初、大手前通りは中央部に高速度車道(6車線、18.0m)、両側に緑地帯(4.0m)、緩速度車道(6.0m)、そして両端部に歩道(6.0m)を備えており、全区間が無電柱化されていました。しかし、モータリゼーションの到来とともに交通量が激増し、緩速度車道の廃止や緑地帯の連続化などが求められるようになりました。

1984年(昭和59年)から1988年(昭和63年)にかけて行われた「大手前通りシンボルロード整備事業」では、道路は「お城にあこがれるゾーン」「お城を想うゾーン」「お城を眺めるゾーン」の3つの特徴あるゾーンに分割されました。これにより、歩道の拡幅や植樹の改善が行われ、姫路城を中心とした美しい景観が保たれています。

現代における利用と保護

トランジットモール化と歩行者の利便性向上

2011年度(平成23年度)から行われた姫路駅周辺整備事業により、十二所前線以南の大手前通りはトランジットモール化され、車道の削減と歩道の拡幅が実施されました。これにより、2015年(平成27年)4月1日から、道路交通法に基づき、路線バス・タクシーを除く車両の通行が禁止され、歩行者の利便性が大幅に向上しました。

また、2008年(平成20年)4月1日から、大手前通りと姫路城周辺は「姫路のまちを美しく安全で快適にする条例」により路上喫煙禁止区域に指定され、これにより市民の健康や安全が確保されています。

受賞歴

評価と受賞歴

大手前通りは、その整備事業が高く評価され、数々の受賞歴を誇ります。1986年(昭和61年)には、建設省(現・国土交通省)の「道の日」実行委員会から「日本の道100選」に選定されました。また、1989年(平成元年)には、大手前通りシンボルロード整備事業が「全国街路事業コンクール」で「建設省都市局長賞」を受賞しました。

さらに、2015年(平成27年)には、「姫路駅北駅前広場および大手前通り」がグッドデザイン賞の特別賞「地域づくりデザイン賞」を受賞するなど、その都市景観と機能性は国内外から高く評価されています。

まとめ

大手前通りは、姫路市の歴史と現代が見事に調和した街路であり、観光名所としてだけでなく、市民の日常生活においても重要な役割を果たしています。その歴史的な背景や整備事業の成果は、今後も姫路市の発展と共に語り継がれていくことでしょう。

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名称
大手前通り(姫路市)
(おおてまえ どおり)

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