神社の概要
住吉神社は、兵庫県加西市北条町北条1318に位置し、周囲には酒見寺やイオンモール加西北条などの施設があります。神社へのアクセスは便利で、北条鉄道北条線の北条町駅から徒歩15分の距離にあります。
住吉神社の起源は、養老元年(717年)に遡ります。伝承によれば、老翁老媼の神様が五王子を伴い鎌倉山(現在の河内町)に来られ、その後、北条へと向かう途中で神宝が盗まれるという事件が起こりました。この時、佐保神が神宝を盗んで川東に逃げたことから、佐保神を祀る佐保神社が設立されたと伝えられています。
その後、老翁と老媼は王子を伴い北条にたどり着き、山酒人という人物に宿泊を願い出ました。山酒人は神々を手厚くもてなしましたが、翌朝、彼らが神である証拠を示したことで、六町歩の門田が平地となり、苗が大きな松に変わったとされています。これがきっかけで、山酒人が神殿を建立し祀ったのが、現在の住吉神社(当時は酒見神社)とされています。
歴史と文化財
住吉神社の歴史
住吉神社は、もともと黒駒村に創建されましたが、養老元年(717年)に現在の所在地に遷座されました。『住吉大社神代記』には、天平3年(731年)に住吉大神の宮の一つとして記されており、古くからの信仰を集めてきました。初期の頃は酒見大明神や酒見社と呼ばれていましたが、明治時代に県社に昇格した際、現在の名称である住吉神社に改められました。
天平17年(745年)には、行基によって神社の東隣に別当寺である酒見寺が建立されました。社殿は度重なる戦乱や火災で焼失と再建を繰り返しましたが、江戸時代初期には姫路城主の池田輝政によって復興されました。輝政は毎年三十石の寄進を行い、その後姫路藩主となった本多美濃守によって社領は六十石に拡大されました。
現在の本社三殿(重要文化財)は、嘉永4年(1851年)に再建されたもので、明治7年(1874年)に郷社に、1881年(明治14年)には県社に列せられました。また、1909年(明治42年)には大歳神社と八幡神社を合祀しました。
重要文化財と境内の建造物
住吉神社の境内には、歴史的価値の高い建造物が多数あります。中本殿、東本殿、西本殿、拝殿は国の重要文化財に指定されており、それぞれ嘉永4年(1851年)に再建されました。その他にも、加西市指定の有形文化財である幣殿や、兵庫県指定の有形文化財である玉垣、白鬚神社など、多くの文化財が保護されています。
住吉神社の本殿は、桁行四間、梁間正面一間・背面二間の規模を持ち、切妻造銅板葺(元は檜皮葺)の建物が東西に3棟並んでいます。これらの建物は、地方の宮大工による技術が存分に発揮されたもので、その技巧は棟札からも確認することができます。
祭神とその由来
住吉神社の祭神としては、酒見神、住吉四神(底筒男命・中筒男命・表筒男命・神功皇后)、大歳神、八幡神が祀られています。これらの神々は、地域の信仰の中心として長年崇められてきました。
春季例大祭「北条節句祭り」
春季例大祭「北条節句祭り」は、毎年4月の第1土曜日から翌日にかけて行われる住吉神社の代表的な祭りです。この祭りは「播州三大祭」の一つとして知られ、地域に根付いた伝統行事となっています。祭りでは、豪華な布団屋台(太鼓台)が登場し、街中での巡行と勇壮な宮入が行われます。
祭りの特色と文化
北条地区では、布団屋台を「化粧屋台」とも呼び、東郷から8台、西郷から7台、計15台の屋台が運行されます。屋台関係者は、紺や黒の着物に長襦袢を着用して祭礼に参加し、一部の地区では灰色や茶色、女物の着物を仕立て直して着ることもあります。また、各地区では鉢巻や襷の色で識別されています。
900年の歴史と伝統
「北条節句祭り」は、優美さと勇壮さが織りなす華やかな春の祭りとして有名で、900年の歴史と伝統を引き継いでいます。祭りでは、東西の神輿、15台の豪華な屋台が巡行し、古式ゆかしい鶏合わせ神事や龍王舞などが奉納され、終日大勢の観衆で賑わいます。
無料駐車場も多数設置されており、多くの人々が訪れるこの祭りは、地域の文化と伝統を感じる絶好の機会です。ぜひ一度訪れてみてください。
毎年4月の第1土曜日から翌日にかけて行われる春季例大祭は「北条節句祭り」として知られており、播州三大祭の一つに数えられます。この祭りでは、播州地方の秋祭りと同様に、反り屋根の布団屋台(太鼓台)が登場します。北条地区ではこの屋台を「化粧屋台」とも呼び、東郷から8台、西郷から7台、計15台の屋台が運行されます。
東郷地区の屋台
- 本町〔ピンク色〕※神輿奉仕は北条東で参加。
- 横尾(榮壽)〔黄色〕※鶏合わせ奉仕地区。
- 東高室〔赤色〕
- 古坂(勇寳)〔黄緑色〕
- 西高室〔白色〕
- 南町(旭光)〔水色(新橋色)〕※神輿奉仕は北条東で参加。
- 栗田(松之尾)〔薄黄色〕※龍王舞奉仕地区。
- 御旅町(住之江)〔濃い青色〕※神輿奉仕は北条東で参加。
西郷地区の屋台
- 谷(寳光)〔臙脂色〕※龍王舞(締太鼓)奉仕地区。
- 小谷(龍虎)〔淡藤色〕※龍王舞(舞)奉仕地区。
- 笠屋(明寳)〔橙色〕※神輿奉仕は北条西で参加。
- 西上野〔白色〕※鶏合わせ奉仕地区。
- 市村(卯の日講)〔水色〕※龍王舞(獅子頭)奉仕地区。
- 宮前〔紫色〕※神輿奉仕は北条西で参加。
- 坂本(龍泉)〔藤色〕※鶏合わせ奉仕地区。
文化財
重要文化財(国指定)
- 住吉神社 4棟(建造物) - 2022年(令和4年)12月12日指定。
- 東本殿(附 棟札1枚)
- 中本殿(附 厨子1基)
- 西本殿(附 棟札1枚)
- 拝殿
兵庫県指定文化財
有形文化財
- 住吉神社 2棟(建造物) - 2017年(平成29年)3月14日、中本殿・東本殿・西本殿・拝殿・白鬚神社・手水舎の6棟が指定。
- 白鬚神社(附:棟札1枚)
- 手水舎(附:棟札2枚)
無形民俗文化財
- 住吉神社竜王の舞(住吉神社鶏合せ龍王舞保存会)
加西市指定文化財
有形文化財
- 幣殿
- 粟島神社
無形民俗文化財
- 住吉神社鶏合せ(住吉神社鶏合せ龍王舞保存会)
なお、以下の建造物6件は、かつて国の登録有形文化財に登録されていましたが、兵庫県及び加西市の有形文化財に指定されたため、登録が抹消されています。
- 中本殿、東本殿、西本殿、拝殿、玉垣 - 県指定に伴い、2017年3月14日付けで登録抹消。
- 幣殿 - 市指定に伴い、2016年5月23日付けで登録抹消。