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住吉神社(加西市)

(すみよし じんじゃ かさいし)

播磨国三宮の歴史ある神社

兵庫県加西市北条町に鎮座する住吉神社は、播磨国三宮として知られる由緒ある神社です。「酒見大明神」「住吉酒見社」「住吉酒見神社」とも呼ばれ、古くから地域の人々の信仰を集めてきました。旧式内社であり、明治時代には県社に列せられた歴史を持ちます。

境内には、国の重要文化財に指定された本殿三棟と拝殿をはじめ、歴史的価値の高い建造物が残されています。また、毎年4月には、豪華な屋台の巡行や伝統神事で知られる「北条節句祭り」が開催されます。歴史ある社殿と華やかな祭礼を通じて、播磨地方に受け継がれてきた信仰と文化に触れられる神社です。

養老元年に始まる住吉神社の由緒

住吉神社の創建は、養老元年(717年)と伝えられています。もとは黒駒村に創建され、同年に現在の北条町へ遷座したとされています。『住吉大社神代記』には、天平3年(731年)に住吉大神の宮の一つとして記されており、古くから重要な信仰の場であったことがうかがえます。

創建にまつわる伝承では、老翁と老媼の神が五王子を伴って鎌倉山、現在の加西市河内町に現れ、北条へ向かう途中で神宝を盗まれたとされています。神宝を盗んだ佐保神が川東へ逃げたことから、佐保神を祀る佐保神社が建立されたと伝えられています。

その後、老翁と老媼は王子たちとともに北条へたどり着き、山酒人という人物に宿泊を願い出ました。山酒人が神々を手厚くもてなしたところ、翌朝、神であることを示す不思議な出来事が起こり、六町歩の門田が平地となり、苗が大きな松に変わったといわれています。この出来事をきっかけに山酒人が神殿を建立し、神々を祀ったのが、当時の酒見神社、現在の住吉神社の始まりとされています。

酒見大明神から住吉神社へ

創建当初は、酒見大明神や酒見社などの名称で呼ばれていました。明治時代に県社へ昇格した際、現在の「住吉神社」という名称に改められました。長い歴史のなかで地域の信仰を支え、播磨国三宮として大切に受け継がれてきました。

天平17年(745年)には、行基によって神社の東隣に別当寺として酒見寺が建立されたと伝えられています。神社と寺院が隣り合う一帯は、当地の宗教文化の歴史を感じられる場所です。

社殿は戦乱や火災によって焼失と再建を繰り返しましたが、江戸時代初期には姫路城主の池田輝政によって復興されました。池田輝政は毎年三十石を寄進し、その後、姫路藩主となった本多美濃守によって社領は六十石に拡大されたと伝えられています。

明治7年(1874年)に郷社となり、1881年(明治14年)には県社に列せられました。1909年(明治42年)には大歳神社と八幡神社が合祀され、現在へと続く神社の姿が形づくられていきました。

国の重要文化財に指定された本殿と拝殿

住吉神社の大きな見どころは、歴史と建築技術を伝える社殿です。現在の本社三殿と拝殿は嘉永4年(1851年)に再建されたもので、2022年(令和4年)12月12日には、東本殿・中本殿・西本殿・拝殿の四棟が国の重要文化財に指定されました。

三つの本殿は東西に並び、いずれも切妻造の銅板葺です。もとは檜皮葺だったとされ、桁行四間、梁間は正面一間・背面二間という構造を持っています。地方の宮大工による優れた技術が随所に見られ、建築の細部や棟札からも、当時の社殿造営の様子を知ることができます。

境内には、加西市指定有形文化財の幣殿や粟島神社、兵庫県指定有形文化財の白鬚神社や手水舎などもあります。社殿を巡りながら、それぞれの建物の造りや歴史に目を向けると、住吉神社が長い年月をかけて守り伝えられてきたことを実感できます。

境内に受け継がれる文化財

住吉神社には、国指定や県指定、市指定の文化財が数多く伝えられています。兵庫県指定有形文化財には白鬚神社と手水舎があり、加西市指定有形文化財には幣殿と粟島神社があります。建造物だけでなく、祭礼に関わる伝統芸能も大切に保存されています。

「住吉神社竜王の舞」は兵庫県指定無形民俗文化財で、「住吉神社鶏合せ」は加西市指定無形民俗文化財です。いずれも住吉神社鶏合せ龍王舞保存会によって伝承され、北条地区の祭礼文化を今に伝えています。

なお、本殿三棟や拝殿、玉垣、幣殿の一部は、かつて国の登録有形文化財に登録されていましたが、県や市の文化財に指定されたことに伴い、登録が抹消されています。現在は、それぞれの指定文化財として保護されています。

春を彩る「北条節句祭り」

住吉神社を代表する行事が、毎年4月の第1土曜日から翌日にかけて開催される春季例大祭「北条節句祭り」です。播州三大祭の一つとして知られ、約900年の歴史と伝統を受け継ぐ、北条地区を代表する華やかな祭礼です。

祭りでは、東西の神輿や豪華な布団屋台が町中を巡行し、勇壮な宮入が行われます。古式ゆかしい鶏合わせ神事や龍王舞なども奉納され、祭りの期間中は大勢の観衆で賑わいます。優美な装飾と力強い担ぎ手の動きが織りなす光景は、播磨の祭礼文化を象徴する見どころです。

15台の化粧屋台が町を巡行

北条節句祭りに登場する布団屋台は、地元では「化粧屋台」とも呼ばれています。反り屋根の豪華な屋台が特徴で、東郷地区から8台、西郷地区から7台、合計15台が運行されます。各地区の屋台はそれぞれ異なる色や意匠を持ち、地区ごとの伝統や誇りを表しています。

祭礼に参加する屋台関係者は、紺や黒の着物に長襦袢を合わせるなど、伝統的な装いで祭りを盛り上げます。地区によっては灰色や茶色の着物、女物の着物を仕立て直した衣装を着用することもあり、鉢巻や襷の色によって地区を見分けられるのも特徴です。

鶏合わせ神事と龍王舞

北条節句祭りでは、屋台巡行や神輿の宮入に加えて、古くから伝わる神事や舞が奉納されます。鶏合わせ神事は祭りを特徴づける伝統行事の一つで、龍王舞も地域に受け継がれてきた重要な芸能です。

屋台を奉仕する地区は、神輿や神事、舞の役割も担っています。祭礼の運営を地域全体で支える仕組みからは、世代を超えて伝統を継承してきた北条地区の結び付きが感じられます。

住吉神社へのアクセス

住吉神社は、兵庫県加西市北条町北条1318に位置しています。公共交通機関を利用する場合は、北条鉄道北条線の北条町駅から徒歩約15分です。周辺には酒見寺やイオンモール加西北条などがあり、あわせて訪れることもできます。

北条節句祭りの開催時には多くの人が訪れ、周辺道路や駐車場が混雑する場合があります。祭りを見学する際は、交通規制や駐車場の案内、当日の行事予定などを事前に確認しておくと安心です。

歴史と祭礼文化が息づく播磨の古社

住吉神社は、養老元年(717年)の創建伝承を持ち、播磨国三宮として長い歴史を刻んできた神社です。国の重要文化財に指定された社殿や境内の文化財からは、地域の信仰と建築文化の歩みを知ることができます。

また、春の北条節句祭りでは、15台の化粧屋台や神輿、鶏合わせ神事、龍王舞などが披露され、地域に受け継がれてきた伝統が華やかに花開きます。歴史ある社殿を参拝し、祭りの季節にはその熱気に触れながら、加西市北条地区の歴史と文化をじっくり味わってみてはいかがでしょうか。

Information

名称
住吉神社(加西市)
(すみよし じんじゃ かさいし)

明石・加古川

兵庫県