兵庫県 » 明石・加古川

北条鉄道

(ほうじょう てつどう)

北条鉄道は、兵庫県加西市を中心に運営されている日本の鉄道会社です。1984年に設立され、加西市および兵庫県などが出資する第三セクター方式で運営されています。同社は、旧日本国有鉄道(国鉄)から引き継がれた特定地方交通線の「北条線」を運営しており、その本社は加西市北条町に位置する北条町駅にあります。

地域密着の取り組み

ステーションマスター制度

北条鉄道では、駅長を公募する「ステーションマスター制度」を導入しています。選ばれたステーションマスターは、駅舎の管理や運営、さらにはイベントの企画・実施を担当します。この制度は、駅長が個々の特技や趣味を生かして、地域活性化や乗客の増加に貢献することを目指しています。この取り組みは「新日本様式100選」にも選ばれ、高い評価を得ています。

イベント列車の運行

北条鉄道では、季節ごとに様々なイベント列車が運行されています。例えば、1月には「おでん列車」、夏休みには「かぶと虫列車」、8月には「ビール列車」、12月には「イルミネーション見学列車」や「サンタ列車」などが運行され、地域の人々や観光客に楽しみを提供しています。2019年からは「ドーナツ列車」も不定期で運行され、加西市に本社がある丸中製菓のドーナツが提供されることで話題を集めています。

グッズ販売と地域連携

北条鉄道では、記念きっぷやキーホルダー、チョロQなどの鉄道グッズの販売を行っています。また、使用済みレールを使用した文鎮や踏切警報灯など、ユニークな商品も取り揃えています。さらに、地元の名産品である「北条鉄道サイダー」や蜂蜜、瓦せんべいなども販売されており、地域との連携を強めています。

2020年7月10日には「鉄印帳」の販売が開始されましたが、わずか3日で完売となり、その人気ぶりがうかがえます。

BDFの導入と環境への配慮

2008年には、加西市と共同でバイオディーゼル燃料(BDF)を使用した試験走行を実施しました。この取り組みは、環境に配慮した運行を目指すものであり、地域社会と連携しながら持続可能な交通手段の確立を目指しています。

車両概要

フラワ2000形

「フラワ2000形」は、加西市内にある兵庫県立フラワーセンターに由来する名称で、2000年に導入されたボギー車のLE-DCです。現在、2両(フラワ2001、2002)が在籍しており、定員は1両あたり126名です。この車両は、通常の運行のほか、様々なイベント列車としても使用されています。

北条町駅保存車両

北条町駅には、かつて北条線で使用されていたキハ30形のキハ30 18と、福塩線で使用されていたDD16 7が静態保存されています。これらの車両は、鉄道ファンや観光客にとって魅力的な展示物となっており、北条鉄道の歴史を感じることができる場所です。

歴史と沿革

設立からの歩み

北条鉄道は、1984年(昭和59年)10月18日に設立されました。翌年の1985年(昭和60年)4月1日には、国鉄から北条線を承継し、正式に営業を開始しました。

技術の進展とイベントの導入

1986年(昭和61年)4月には列車無線の使用を開始し、運行の安全性を向上させました。また、1989年(平成元年)12月にはサンタ列車の運行を開始し、地域住民や観光客に親しまれるイベント列車の運行を始めました。

1999年(平成11年)7月には「かぶと虫列車」の運行が開始され、その後も新たな車両の導入やボランティア駅長の誕生など、地域との結びつきを深める取り組みを続けています。

経営改革と現代化

北条鉄道では、経営の効率化を図るための様々な取り組みが行われてきました。2010年(平成22年)10月には全国初となる廃油燃料を旅客車両に使用する試みが実施され、環境に配慮した運行が始まりました。2019年(令和元年)8月2日には、全国初となる保安システムとして「票券指令閉塞式」の導入が国土交通省より認可され、さらなる安全性の向上を図っています。

2020年(令和2年)9月1日には、法華口駅において列車交換施設が運用を開始し、新たな技術が導入されました。そして、2022年(令和4年)3月13日には、キハ40形車両の運行が開始され、北条鉄道の運行体制がさらに強化されました。

北条線の概要

路線情報

北条鉄道が運営する「北条線」は、兵庫県の粟生駅から北条町駅までの13.6kmの区間を結んでいます。粟生駅では、加古川線西脇市方面行きの列車と同じホームを使用していますが、現在は渡り線が撤去されており、加古川線との直通運行は行われていません。

また、2020年4月末に法華口駅において列車交換設備の再設置工事が完了し、全国初の「票券指令閉塞式」保安システムが導入されました。このシステムの導入により、安全性が飛躍的に向上しました。

北条線では、交通系ICカード(ICOCAやPiTaPa)は一切利用できないため、乗車券は現金や回数券での購入が必要です。

2023年度の利用客と売上高の記録更新

2024年6月、北条鉄道の2023年度の利用客(年間輸送人員)と売上高が、第三セクター鉄道に移行して以来、最高を記録しました。この背景には、加西市から小野市や西脇市、加古川市など周辺地域の高校に通学する生徒の利用増加や、新型コロナウイルスの影響からの回復が挙げられます。

事業報告書と決算報告書によると、2023年度の輸送人員は前年度比2%増の38万7836人に達し、特に通学定期の利用は同4.3%増の17万9280人となりました。また、売上高も前年同期比1%増の9733万円となり、北条鉄道の安定した経営基盤が強化されました。

Information

名称
北条鉄道
(ほうじょう てつどう)

明石・加古川

兵庫県