にくてんの特徴
「にくてん」は、一般的なお好み焼きとは異なるユニークな特徴を持っています。 具材には、甘辛く味付けされたすじ肉やこんにゃく、そして角切りのジャガイモが使われており、 これらが生地と一緒に焼かれます。
通常のお好み焼きとの違い
- ジャガイモが具材として使用される
- すじ肉とこんにゃくが入り、味わいに深みがある
- 生地の上に具材をのせて焼き、最後に折りたたむスタイル
「大阪風」や「広島風」とは異なり、「にくてん」は焼いた生地の上に具材をのせ、 最後に二つ折りにする、または重ねて焼くスタイルが特徴です。
にくてんの由来と歴史
「にくてん」は、兵庫県高砂市だけでなく、神戸市長田区などでも古くから親しまれてきた料理です。 特に戦前の神戸では、「にくてん」という名前が「お好み焼き」全般を指す言葉として使われていました。
発祥の背景
にくてんの起源については明確な記録がありませんが、戦後、小麦粉が普及したことで一般家庭にも広まりました。 また、元々おでんの具材として使われていたジャガイモやすじ肉を活用することで、家庭料理として根付いていきました。
「にくてん」という名前の由来
- 「にく」=すじ肉
- 「てん」=天かす
「にく」はすじ肉を指し、「てん」は天かすを意味すると言われています。 そのほかにも、「肉をのせるから“天地”の“天”」「肉を入れたお好み焼きをひっくり返すから“転”」など さまざまな説があります。
にくてんの作り方
にくてんの調理方法はシンプルですが、特徴的な工程がいくつかあります。
基本のレシピ
材料
- 小麦粉
- すじ肉
- こんにゃく
- ジャガイモ
- キャベツ
- 天かす
- 卵
- ウスターソース
- 青のり・かつお節(仕上げ用)
作り方の手順
- 薄く伸ばした生地を鉄板の上で焼く
- 角切りにしたジャガイモ、すじ肉、こんにゃく、キャベツ、天かすをのせる
- 具材に甘辛い味付けをする
- ソースを塗り、具材がのった生地を折りたたむ
- 再びソースを塗り、青のりとかつお節をふりかける
高砂にくてんの特徴
高砂市の「にくてん」は、神戸市のものと似ていますが、煮染めたジャガイモが入っているのが特徴です。 これは、もともと店で提供されていた関東煮(おでん)の具材を刻んで入れるようになったことが由来とされています。
にくてんと地域文化
兵庫県内では、「にくてん」は高砂市の名物として広く知られています。 一方、神戸市では「長田焼」や「スジネギ焼」などの名前で親しまれ、神戸風お好み焼きのルーツとも言われています。
兵庫県外での広がり
「にくてん」は、兵庫県内だけでなく、宮崎市の波島地区や香川県などでも提供される店があります。 これらの地域では、神戸風のお好み焼きと似た「重ね焼き」スタイルが採用されており、伝統の味が受け継がれています。
主な伝承地域
- 兵庫県高砂市
- 神戸市長田区
- 宮崎県宮崎市波島地区
- 香川県
主な使用食材
- すじ肉
- こんにゃく
- ジャガイモ
- キャベツ
- 小麦粉
まとめ
高砂名物「にくてん」は、ジャガイモやすじ肉、こんにゃくが入ったボリューム満点のお好み焼きです。 「大阪風」「広島風」とは異なる独自の調理法で作られ、地元の家庭料理としても親しまれています。 歴史をさかのぼると、神戸市長田区で広く食べられていた「にくてん」が、戦後の食文化の変化とともに 高砂市の名物へと発展していきました。現在では、ご当地グルメとしてB-1グランプリに出場するなど、 全国的にも注目を集める存在となっています。