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清冷山 薬師院

(やくしいん)

薬師院は、兵庫県明石市魚住町西岡に位置する高野山真言宗の寺院です。山号は清冷山であり、明石西国霊場第7番札所および播磨八薬師霊場の1番札所としても知られています。また、「ぼたん寺」の通称でも親しまれており、訪れる多くの参拝者や観光客に彩り豊かな風景を提供しています。

薬師院の歴史

創建の伝承

薬師院の歴史は、伝説的な僧・行基(ぎょうき)に遡ります。行基がこの地を訪れた際、錫杖を地に突き立てると、霊水が湧き出し、その中から薬師如来像が出現したと伝えられています。行基はその薬師如来像を祀るために、この寺院を創建したとされています。以来、薬師院は多くの人々に信仰され続けてきました。

ぼたん寺としての由来

現在、薬師院は「ぼたん寺」として広く知られています。この名称の由来は、明治初期に遡ります。当時の住職が薬用植物としてボタンを植えたことが始まりで、その後、境内には2千平方メートルの広さを誇るぼたん園が整備されました。春の開花時期には、約50種、約2000株ものボタンが咲き誇り、訪れる人々を魅了します。

境内の見どころ

本堂

薬師院の本堂には、本尊である薬師如来が安置されています。また、弘法大師(空海)や千手観音も祀られており、参拝者が静かに祈りを捧げる場として大切にされています。

毘沙門堂

境内には、毘沙門天が安置された毘沙門堂もあります。ここでは、戦いの神として信仰される毘沙門天が、参拝者に力強さと守護を与えるとされています。

さづけ地蔵

薬師院の境内には、弘法大師生誕1200年を記念して1973年(昭和48年)に建立された「さづけ地蔵」があります。この地蔵尊は、多くの人々に福徳を授ける象徴として大切にされています。

薬師院へのアクセス

薬師院へのアクセスは電車やバスで容易に行くことができます。以下は主なアクセス方法です。

電車でのアクセス

JR西日本山陽本線の魚住駅から徒歩約20分、または山陽電鉄山陽魚住駅から徒歩約10分で到着します。これにより、神戸や大阪などからのアクセスも非常に便利です。

バスでのアクセス

明石市コミュニティバス「たこバス」を利用する場合、西岡東ルートの「ぼたん寺口」バス停で下車し、徒歩約3分で薬師院に到着します。

薬師院と石田幽汀

薬師院は、江戸時代中期の著名な絵師である石田幽汀(いしだゆうてい)の実家の菩提寺でもあります。幽汀の作品が今なお境内に残されており、芸術的な価値も感じられる場所です。幽汀の作品に触れながら、彼の故郷である明石市の歴史や文化に思いを馳せることができるでしょう。

まとめ

薬師院は、行基による伝承や、豊かな自然に彩られた「ぼたん寺」としての魅力を持つ、歴史と文化が融合した寺院です。春には美しいボタンの花が咲き誇り、多くの参拝者や観光客が訪れます。静かな境内で歴史に思いを馳せながら、豊かな自然を楽しむことができる薬師院は、明石市の重要な文化財産と言えるでしょう。

Information

名称
清冷山 薬師院
(やくしいん)

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