明石市立天文科学館の概要
日本標準時子午線上に建つ科学館
明石市立天文科学館は、東経135度の日本標準時子午線上に建っています。日本の標準時と深い関わりを持つ場所であり、時間をテーマにした施設ならではの特徴が随所に見られます。
玄関横には時刻を示す漏刻が設置されているほか、塔時計には「JSTM(Japan Standard Time Meridian)」の表示があります。この時計塔は、日本標準時子午線を示すランドマークとしても親しまれています。
1960年に開館した歴史ある施設
科学館は1960年(昭和35年)6月10日の「時の記念日」に開館しました。日本の天文教育や普及活動を支えてきた施設の一つで、長年にわたり多くの人々に親しまれています。
開館から50周年を迎えた2010年には、建物が国の登録有形文化財(建造物)に登録されました。また、1998年には公共建築百選の一つに選定されています。
震災からの復興と館の歩み
1995年(平成7年)の阪神・淡路大震災では、明石市立天文科学館も被害を受けました。その後、復旧工事が進められ、1998年(平成10年)3月15日に新装開館しました。
2010年には展示室が全面的にリニューアルされ、プラネタリウムの投影機も長年にわたって整備・点検が重ねられてきました。2014年にはプラネタリウムの座席を交換し、2022年には投影機の分解整備が行われています。
開館以来、時や宇宙について学べる施設として歩みを重ねるとともに、歴史ある建築物や設備を大切に受け継いでいます。
歴史あるプラネタリウム
カール・ツァイス・イエナ製の投影機
明石市立天文科学館の大きな見どころの一つが、長い歴史を持つプラネタリウムです。開館時に導入された投影機は、ドイツのカール・ツァイス・イエナ社製「Universal23/3(UPP 23/3)」です。
この投影機は、2015年時点で日本国内の現役機として最も古く、世界的にも歴史ある大型投影機の一つとして知られていました。長年にわたって稼働してきたことから、科学館を象徴する存在となっています。
学芸員による生解説
プラネタリウムでは、伝統的な手動操作の主投影機に、補助投影機やスライドなどを組み合わせて星空を映し出します。学芸員による肉声の解説や、生の声によるナレーションを通じて、星や宇宙について分かりやすく学べます。
機械による投影と人の声を組み合わせた番組は、歴史あるプラネタリウムならではの魅力です。星空の動きや宇宙の広がりを、落ち着いた雰囲気の中で楽しめます。
また、2018年からは、ふるさと納税の返礼品としてプラネタリウムを貸し切って投影できる権利も提供され、実際に利用されています。
明石市のランドマーク・塔時計
科学館のシンボルである塔時計は、遠くからも目を引く存在です。建物の高さは約56mに達し、時計の文字盤は直径約6.2m、時計の重量は約4tとされています。
震災を経て受け継がれた時計
初代の塔時計は、1960年の開館時に設置されました。1978年には2代目に更新されましたが、1995年の阪神・淡路大震災で被災し、地震発生時刻である午前5時46分に停止しました。
その後、1997年に3代目の時計がセイコーホールディングスから寄贈され、設置されました。2020年2月25日には、寄贈元による大規模な修繕工事が完了し、外観の修繕や照明のLED化などが行われました。
震災の記憶を伝えるとともに、時を刻み続ける塔時計は、科学館の歴史を象徴する存在でもあります。
天体観測室と展望室
口径40cmの反射式望遠鏡
時計塔の最上階にあたる16階には、天体観測室が設けられています。地上から発生する熱による空気の揺らぎの影響を抑えるため、高い場所に観測設備が配置されています。
観測室には口径40cmの反射式天体望遠鏡が設置されており、月1回開催される天体観望会で公開されています。開催日には、天体観測を通じて星や宇宙を身近に感じる機会が得られます。
明石市を見渡す展望室
館内の13~14階には展望室があります。高層階から周囲の景色を眺められるのも、塔時計を備えた科学館ならではの魅力です。
科学館のタワーは、南側を通るJR西日本の山陽本線(JR神戸線)や山陽電鉄本線からもよく見え、明石市を代表するランドマークとして親しまれています。
時の記念日と特別イベント
明石市立天文科学館は、1960年の「時の記念日」に開館しました。その縁から、毎年6月10日の時の記念日には、無料開放や子午線通過記念証の配布などが行われ、多くの来館者に親しまれています。
時間と深い関わりを持つ明石ならではの行事を通じて、時の大切さや日本標準時子午線の意味について、改めて考えることができます。
館内の主な施設
プラネタリウム・天文サロン(2階)
歴史ある投影機による星空の投影を楽しめるプラネタリウムや、天文学について親しめる天文サロンがあります。
展示室(3階)
時間や宇宙、天文学に関する展示を通じて、さまざまな知識を学べるエリアです。
時のギャラリー・天文ギャラリー
時や天文学に関する資料や展示を通じて、科学館のテーマへの理解を深められます。
特別展示室・観測資料室
特別展示や天体観測に関する資料などを紹介する施設です。
日時計広場・キッズルーム(4階)
日時計に触れながら時刻の仕組みを学べる広場や、子どもが利用できるキッズルームがあります。
展望室(13~14階)
高層階から明石市周辺の景色を眺められる展望スペースです。
天体観測室(16階)
口径40cmの反射式天体望遠鏡を備え、定期的な天体観望会で公開される施設です。
塔時計・野外日時計
科学館のシンボルである塔時計や、屋外で時刻の仕組みを学べる日時計も見どころです。
明石市立天文科学館の主な年表
- 1960年(昭和35年)6月10日:天文科学館が開館
- 1978年(昭和53年):プラネタリウム投影機のオーバーホールを実施
- 1989年(平成元年):プラネタリウム投影機のオーバーホールを実施
- 1995年(平成7年):阪神・淡路大震災で被災
- 1997年(平成9年):3代目の塔時計を設置
- 1998年(平成10年)3月15日:震災復旧工事を終え、新装開館
- 2002年(平成14年):プラネタリウム投影機のオーバーホールを実施
- 2010年(平成22年)1月:プラネタリウム投影機のオーバーホールを実施
- 2010年(平成22年)5月29日:展示室を全面リニューアル
- 2010年(平成22年)9月10日:建物が国の登録有形文化財(建造物)に登録
- 2012年(平成24年)8月:プラネタリウム投影機の稼働年数が日本一(実質東洋一)となる
- 2014年(平成26年)3月15日:プラネタリウムの座席交換工事を終え、リニューアルオープン
- 2015年(平成27年)12月7~8日:プラネタリウム投影機の整備・点検を実施
- 2020年(令和2年)2月25日:塔時計の大規模修繕工事が完了
- 2022年(令和4年)9月29日~10月23日:プラネタリウム投影機のオーバーホールを実施
アクセス・利用案内
所在地
〒673-0877 兵庫県明石市人丸町2番6号
交通アクセス
山陽電気鉄道の人丸前駅からすぐの場所にあります。JR明石駅からは徒歩約15分です。
開館時間
午前9時30分~午後5時(最終入館は午後4時30分)
休館日
月曜日(月曜日が祝日の場合は翌平日)および年末年始(12月29日~1月3日)です。
入館料
大人700円、子ども(小・中学生)は無料とされています。
開館時間や休館日、料金、プラネタリウムの投影スケジュール、天体観望会の開催状況などは、訪問前に最新の案内をご確認ください。
明石市立天文科学館を訪ねる魅力
明石市立天文科学館は、日本標準時子午線上に建つという特徴に加え、歴史あるプラネタリウムや塔時計、天体観測室など、時間と宇宙をさまざまな角度から学べる施設です。
学芸員による生解説を楽しめるプラネタリウム、展望室からの眺め、天体観望会など、子どもから大人まで興味に合わせて楽しめる見どころがそろっています。
時間の仕組みや星空について学びながら、明石の歴史と科学に触れられる、家族でのお出かけにもおすすめのスポットです。