概要
灘黒岩水仙郷は、諭鶴羽山から紀伊水道に向かって広がる斜面に位置しており、約7ヘクタールにわたるエリアに約500万本のニホンズイセンが自生しています。この壮大なスイセンの景色は、訪れる人々に驚きと感動を与えます。場所によっては「黒岩水仙郷」や「灘水仙郷」とも呼ばれることがあります。
この地域は、船山馨の小説『お登勢』のヒロインであるお登勢が灘黒岩出身という設定で知られており、文学的な背景も持っています。
歴史
灘黒岩水仙郷の起源は、江戸時代に遡ります。当時、付近に住む漁師が海岸に漂着したスイセンの球根を山に植えたことが始まりとされています。それ以来、この地はスイセンの群生地となり、1950年代からは地元住民が主体となって整備され、次第に観光地として発展しました。現在では、兵庫県内外から多くの観光客が訪れる一大名所となっています。
施設
灘黒岩水仙郷では、1950年代から地元住民が管理を行っており、1977年(昭和52年)には民間で管理棟が建設されました。その後、1996年(平成8年)に旧南淡町が用地や建物を買収し、公営施設として整備されました。現在は、住民団体「灘・沼島ふるさと会」が指定管理者として管理を行っています。
灘黒岩水仙郷は、冬季限定で開園していましたが、施設の老朽化に伴い、2022年(令和4年)から2023年(令和5年)にかけて管理棟の建て替えや園内の遊歩道整備が行われました。工事期間中は休園していましたが、2023年12月にリニューアルオープンし、通年営業の施設となりました。新しい施設には、2階にカフェ「ふくカフェ」が併設され、屋上の展望フロアからは紀伊水道の絶景を楽しむことができます。
交通アクセス
自家用車
灘黒岩水仙郷へは、自家用車でのアクセスが便利です。神戸淡路鳴門自動車道の西淡三原インターチェンジから、県道31号および県道76号(阿万バイパス・南淡路水仙ライン)を経由し、約30kmの距離を進むと到着します。水仙郷までの道のりは、ほぼ道なりで進むことができます。
公共交通機関
公共交通機関を利用する場合、開花時期にはシャトルバスが運行されます。福良港のなないろ館前から灘黒岩水仙郷への往復便が運行されているほか、洲本温泉発着便もあり、立川水仙郷を経由して灘黒岩水仙郷まで往復することができます。また、コミュニティバス「らん・らんバスすいせん号」も利用可能で、1日5本運行されています。ただし、一部の便は高速バス停留所の「陸の港西淡」発着となっているため、注意が必要です。
周辺情報
灘黒岩水仙郷の周辺には、その他の観光スポットも多く存在します。例えば、国の名勝に指定されている慶野松原や、鳴門海峡で見られる鳴門の渦潮、南あわじ市滝川記念美術館玉青館などがあり、訪れる際にはこれらのスポットも合わせて楽しむことができます。
灘黒岩水仙郷は、歴史と自然の調和が美しい場所であり、多くの人々に愛され続けています。今後も、四季折々の美しい風景を楽しむことができる場所として、多くの観光客を迎え入れることでしょう。