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伊弉諾神宮

(いざなぎ じんぐう)

日本最古の神社の一つ

伊弉諾神宮は、兵庫県淡路市多賀にある歴史深い神社です。式内社(名神大社)であり、淡路国一宮として知られています。旧社格は官幣大社で、現在は神社本庁の別表神社に指定されています。伊弉諾神宮は、地元では「一宮(いっく)さん」や「伊弉諾さん」として親しまれています。また、毎年1月15日(小正月)には、御粥占祭や淡路農林水産祭が盛大に行われます。2016年4月25日には、構成文化財の一つとして日本遺産に認定されました。

祭神

伊弉諾神宮の祭神は、伊弉諾尊(いざなぎのみこと)と伊弉冉尊(いざなみのみこと)の二柱です。この二神は、日本神話において国産み・神産みを行った神々として有名です。元々、伊弉諾神宮では伊弉諾尊のみが祀られていましたが、1932年(昭和7年)に伊弉冉尊を正式に合祀する形となりました。

祭神に関する歴史的背景

伊弉諾尊が淡路国から大和朝廷の神話に組み込まれた背景については、さまざまな説があります。例えば、伊弉諾尊が皇祖神の親とされる信仰が7世紀中頃以降に始まったと考えられており、当時の宮廷に食料を供給していた淡路の海人たちがこの信仰を伝えたとされています。

伊弉諾神宮の歴史

創建

伊弉諾神宮の創建は『日本書紀』や『古事記』に記されており、国産み・神産みを終えた伊弉諾尊が最初に生んだ淡路島多賀の地に鎮座したとされています。淡路島多賀の地は、伊弉諾尊の終焉の地としても伝えられており、当社の起源とされています。

概史

文献によれば、伊弉諾神宮は古くから日本の歴史に深く関わってきました。『日本書紀』には、履中天皇や允恭天皇の時代に「伊奘諾神」や「島神」として記載されており、これらは一般に伊弉諾神宮に比定されています。また、平安時代末期から鎌倉時代初期にかけて、伊弉諾神宮は淡路国一宮としての地位を確立し、地域の信仰の中心となりました。

中世の伊弉諾神宮

中世において、伊弉諾神宮は国衙(こくが)や地元の領主たちによって支えられていました。当時の記録によれば、伊弉諾神宮は国司庁の監督の下で法華会や桜会といった祭礼が行われており、また神宮寺が存在していたことがわかります。中世末期には、田村氏によって神社の管理が行われ、日蓮宗に改宗された歴史があります。

近世から近代にかけての発展

江戸時代には、徳島藩主である蜂須賀家によって崇敬され、神社の供領として10石が与えられました。明治時代には、1870年(明治3年)に名東県より伊弉諾尊1柱を祭神として定められ、1871年(明治4年)には国幣中社に列格、1885年(明治18年)には官幣大社に昇格しました。1948年(昭和23年)には神社本庁の別表神社に加列され、1954年(昭和29年)には現在の「伊弉諾神宮」に改称されました。

阪神・淡路大震災と復興

1995年(平成7年)1月17日の阪神・淡路大震災で伊弉諾神宮は大きな被害を受けました。一の鳥居が倒壊するなどの被害がありましたが、氏子たちの奉納により、同年11月には神明鳥居へ形式を改めて再建されました。現在も地元の人々に大切に守られ、信仰が続けられています。

伊弉諾神宮の境内

境内の主要な建物

伊弉諾神宮の境内には、多くの歴史的建造物があります。以下は、その主要な建物です。

本殿

本殿は、1879年(明治12年)に再建されましたが、1881年(明治14年)に現在の位置に移築されました。三間社流造であり、幣殿と屋根で連結されています。

幣殿・中門

幣殿と中門は、1881年(明治14年)に建立されました。これらの建物は、神社の神聖な儀式の場として使用されています。

拝殿

拝殿は、1882年(明治15年)に再建され、銅板葺入母屋造で、舞殿を兼ねています。ここで多くの参拝者が神に祈りを捧げます。

神輿庫

神輿庫は、文化5年(1808年)に徳島藩主蜂須賀治昭によって建立されました。神輿が保管されており、祭礼時にはここから神輿が出されます。

昭和天皇御手植の楠

境内には、1922年(大正11年)11月30日に昭和天皇が皇太子時代に植えた楠があり、現在も成長を続けています。

伊勢皇大神宮遥拝所

伊弉諾神宮と同じ緯度に位置する伊勢神宮を遥拝するための場所です。ここからは真東に伊勢神宮が鎮座しています。

放生の神池

放生の神池は、幽宮跡の御陵を中心に存在したとされる濠の遺構です。ここでは命乞いに鯉を放ち、快癒の報賽には亀を放って祈願が行われます。

摂末社と文化財

摂末社

伊弉諾神宮の境内には、さまざまな摂末社が鎮座しています。例えば、天照皇大神と月読尊を祀る左右神社や、農業守護の鹿島神社と住吉神社などが挙げられます。また、樹齢約900年の夫婦(めおと)の大楠の根本に鎮座する岩楠神社は、子授け・安産の神として信仰されています。

兵庫県指定天然記念物

伊弉諾神宮の境内には、兵庫県指定天然記念物である夫婦クスがあります。1973年(昭和48年)に指定され、現在もその威容を誇っています。

淡路市指定有形文化財

神像9躯が淡路市の指定有形文化財として保護されています。これらの文化財は、伊弉諾神宮の歴史と信仰の象徴として大切にされています。

まとめ

伊弉諾神宮は、日本最古の神社の一つであり、歴史と信仰が息づく場所です。古代から続く神話や伝承を背景に、地元の人々に愛され続けています。神社の壮大な建築と自然の美しさは、訪れる者に深い感銘を与えます。これからも伊弉諾神宮は、日本の文化と信仰を象徴する場所として、多くの人々に尊ばれることでしょう。

Information

名称
伊弉諾神宮
(いざなぎ じんぐう)

淡路島

兵庫県