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先山

(せんざん)

先山は、兵庫県淡路島の中部に位置する標高448mの山で、洲本市上内膳に属する先山山地の最高峰です。この山は「淡路富士」とも呼ばれ、その美しい姿と歴史的背景から多くの人々に親しまれています。

概要

先山という山名は、日本神話の「国生み神話」に由来しています。イザナギとイザナミの二柱の神が淡路島を創造した際、最初にできた山がこの先山であるとされています。地質的には領家変成帯の花崗岩で形成されており、西側には緩やかな津名丘陵が続き、東側には南北に走る先山断層を挟んで大阪層群の丘陵が広がっています。

展望と景観

先山の山頂にある展望台からは、大阪湾はもとより、遠く四国まで見渡すことができます。そのため、「洲本八景」の一つに数えられる美しい景観を誇ります。また、先山は本山(諭鶴羽山、608m)や柏原山(569m)とともに「淡路三山」と呼ばれています。これらの山々は淡路島を象徴する存在であり、多くの登山者や観光客に愛されています。

歴史と文化

1804年(文化元年)に出版された谷文晁の『名山図譜』には、全国の著名な88の山が水墨画で描かれており、その中には先山が富士山のような姿で描かれています。この図譜は、先山が歴史的にも文化的にも重要な山であることを示しています。

千光寺

先山の山頂には、高野山真言宗の別格本山である先山千光寺が建っています。この寺院は淡路島第一の名刹として知られており、その本尊は千手観音です。千光寺の縁起によると、大猪に化身した観音菩薩に導かれた狩人・忠太(藤原豊広)が開基したとされています。境内には、狛犬ではなく神使として猪が置かれており、これもこの寺の特徴的な風景の一部です。

重要文化財と建築物

千光寺には、国の重要文化財に指定されている梵鐘があります。この梵鐘は弘安6年(1283年)の銘があり、歴史的な価値が高いものです。また、本堂の鰐口は天文15年(1546年)のもので、三重塔は高田屋嘉兵衛によって文化年間に修築されたとされています。さらに、仁王像は運慶の作とされていますが、実際の作者は不明です。これらの歴史的な建築物や文化財は、千光寺が古くから信仰を集めてきたことを物語っています。

信仰と行事

千光寺は古くから信仰を集めており、特に大晦日の夜の「除夜詣」や正月の初詣には多くの参拝者で賑わいます。また、「団子ころがし」という特異な供養行事も行われています。これは死者の五七日忌(35日)に、団子やおにぎりを山上から谷に向かって投げる行事で、死者の旅路を助けるために鬼を供物で逸らせるという意味が込められています。

岩戸神社

千光寺のすぐ下方、標高約400mの地点には、岩戸神社が祀られています。この神社は高さ8mの岩の上にあり、日本神話で天の岩戸に姿を隠した天照大神を祀っています。岩戸神社は、その神秘的な立地と歴史的背景から、多くの参拝者が訪れるスポットとなっています。

アクセス

車でのアクセス

先山の頂上に位置する千光寺まで、北側から車道が通じており、駐車場も整備されています。車でのアクセスは、兵庫県道465号多賀洲本線を利用し、神戸淡路鳴門自動車道からは淡路島中央SICまたは洲本ICが最寄りのインターチェンジとなります。

徒歩でのアクセス

徒歩の場合、淡路交通都志線の安田橋バス停から兵庫県道465号多賀洲本線を西へ進むルートや、上内膳・淡路交通鳥飼線の先山口バス停から北北西へ進むルートなどが選択できます。これらのルートを通じて、自然豊かな道を楽しみながら山頂を目指すことができます。

公共交通機関でのアクセス

洲本市内からは淡路交通のバスが運行しており、洲本市内からのアクセスも良好です。過去には淡路交通鉄道線の先山駅や、淡路交通市内線の先山バス停が存在していましたが、現在はこれらの路線は廃止されています。

先山はその美しい景観と歴史的な魅力から、多くの人々に愛されている山です。訪れる際には、ぜひ千光寺や岩戸神社にも足を運び、その豊かな歴史と自然を堪能してください。

Information

名称
先山
(せんざん)

淡路島

兵庫県