淡路ファームパーク イングランドの丘は、兵庫県南あわじ市に位置する広大な農業公園です。ここでは、コアラをはじめとする動物たちとのふれあい、四季折々の花々の鑑賞、そしてパン作りやアイスクリーム作りなどの体験教室を楽しむことができます。また、季節に応じた農作物の収穫体験も提供され、自然と触れ合いながら学びの機会を得ることができます。
南あわじ市は淡路島の南部に位置し、兵庫県の約2.7%を占める広大な地域です。神戸市から60キロメートル、大阪市から80キロメートルの距離にあり、都市部からのアクセスも良好です。市の中央部を本四淡路縦貫道が貫き、南は徳島市と大鳴門橋で、北は明石海峡大橋で明石市や神戸市と結ばれています。南部と西部は紀伊水道と播磨灘に面し、北部には先山山地、南東部には諭鶴羽山地、西部には南辺寺山地が広がっています。中央部には広大な三原平野があり、全体として温暖な瀬戸内海気候に属し、年間を通じて降水量が少なく、過ごしやすい気候です。淡路ファームパーク イングランドの丘の駐車場付近の標高は約40メートルで、穏やかな風景が広がります。
淡路ファームパーク イングランドの丘の開園は、1985年にさかのぼります。兵庫県が淡路島に兵庫県フラワーセンターの分園として開園した淡路ファームパークが前身です。この施設を基に、2001年4月14日、三原町(現・南あわじ市)は新たに農村型体験交流施設を整備し、淡路ファームパーク イングランドの丘として生まれ変わりました。農業や農村の活力を高めることを目的とし、地域住民や都市生活者に憩いの場を提供する施設として、その役割を果たしています。
淡路ファームパーク イングランドの丘の象徴的な存在であるコアラは、西オーストラリア州との友好関係の象徴でもあります。兵庫県と西オーストラリア州は1981年に友好・姉妹提携協定を結び、2003年には提携20周年を記念して4頭のコアラが寄贈されました。さらに、2011年には提携30周年を祝して追加で4頭が寄贈されました。その後、施設内でコアラの繁殖にも成功し、2012年には雌の「そら」、2013年には雄の「だいち」が誕生しました。
淡路ファームパーク イングランドの丘は、コアラの飼育が象徴的な施設ですが、それだけでなく、四季折々の花々やさまざまな動物たちとのふれあいが楽しめる場所です。園内ではワラビーやうさぎ、羊などが飼育されており、訪れる人々はこれらの動物たちと直接触れ合うことができます。また、パン作りやアイスクリーム作りなどの手作り体験教室も人気があり、農作物の収穫体験も時期に合わせて行われます。
現在、淡路ファームパーク イングランドの丘では7頭のコアラが飼育されています。特に「みどり」は、国内最高齢のコアラとして2021年にギネス世界記録に認定され、その長寿は多くの人々に祝福されました。みどりは2022年11月に25歳9ヶ月でその生涯を閉じましたが、彼女の記録と貢献は今もなお語り継がれています。
淡路ファームパーク イングランドの丘は、「グリーンヒルエリア」と「イングランドエリア」の二つのエリアに分かれています。グリーンヒルエリアでは、コアラ館やロックガーデン、大温室、バードゲージ、動物ふれあい広場など、動物とのふれあいをテーマにした施設が充実しています。一方、イングランドエリアは、イギリスの湖水地方をイメージした景観が広がり、湖や農業体験施設が点在しています。
淡路ファームパーク イングランドの丘では、2001年4月から2008年1月まで、世界初のIMTS新交通システムが導入されていました。無人自動運転による園内移動が可能でしたが、現在は終了しており、無料シャトルバスがその役割を担っています。
園内には、1884年に建設された旧三原郡役所が移築再建されており、この建物は2008年に国の登録有形文化財に指定されました。この歴史的建造物は、三原町の歴史を感じさせる貴重な遺産として保存されています。