本福寺の歴史と背景
本福寺は、平安時代後期に建立されたと伝えられる真言宗御室派の寺院で、淡路四国第五十九番霊場としても知られています。境内からは大阪湾を一望でき、自然に囲まれた静謐な環境が広がります。安藤忠雄による設計で、コンクリート造りのモダンな外観が特徴的な水御堂は、訪れる人々に深い印象を与えます。
四季折々の花々と水御堂の魅力
本福寺は、「あわじ花へんろ」の第6番札所であり、春にはソメイヨシノが咲き誇り、夏には約2000年前の地層から発見された大賀ハスが大輪の花を咲かせます。6月から7月にかけてのハスの開花時期には、蓮池が色とりどりのスイレンで覆われ、神秘的な雰囲気を醸し出します。蓮池の中央には階段があり、その先に本堂があり、本尊の薬師如来が静かに安置されています。
水御堂の概要
水御堂は淡路島北東部の大阪湾を見渡せる小高い丘に建てられています。鉄筋コンクリート造の楕円形の蓮池の下に本堂があり、そのユニークな構造が多くの人々を魅了しています。雑木林に囲まれたアプローチを抜けると、正面に大きな曲面の壁が現れ、これが俗界と聖界の境界を象徴しています。
壁を回り込み内部に入ると、やや楕円形の大きなコンクリート造りの蓮池が現れ、水面を切り裂くように設けられた直線の階段を下りると、朱塗りの回廊に至ります。この回廊を進むと、本堂が姿を現し、内部も朱塗りの空間で統一されています。本尊である薬師如来像の背後には西方があり、大扉を開放すると光が差し込み、本尊が極楽浄土を象徴するかのように輝く仕組みが取り入れられています。
水御堂と植物の共生
水御堂の屋根を兼ねる蓮池には、紅白などのスイレンや大賀ハスが浮かび、花が咲く時期には水面が色鮮やかに彩られます。スイレンの見頃は5月から9月、大賀ハスの見頃は6月から7月であり、訪れる人々に四季折々の美しさを提供しています。また、本福寺は三洋電機の創業者、井植歳男一家の菩提寺でもあり、記念碑が建てられています。
本福寺建設にまつわるエピソード
水御堂の建設当初、建築家・安藤忠雄はハスの中に人が入る寺を構想しましたが、住職や300余りの檀家がすべて反対しました。しかし、最終的に信者たちの心を動かしました。
安藤忠雄の「お寺とは何か」という問いから始まった考察から、通常、寺院には大屋根があり、これは権力の象徴とされますが、安藤忠雄は権力ではなくハスをシンボルにすることを提案しました。
安藤忠雄が京都の真言宗本福寺本山の高名な僧侶、立花大亀の意見を求めると、立花大亀は「仏教の原点のハスの中に入るというのは最も良い姿だ」と評価し、この意見が檀家たちの心を動かしました。その結果として水御堂が生まれました。
本福寺の所在地とアクセス
本福寺は兵庫県淡路市浦1309-1に位置しています。アクセスには、淡路市生活観光バス路線「立石川」バス停で下車し、徒歩約10分です。また、自家用車でのアクセスも可能で、駐車場も完備されています。
見学情報
本福寺の見学は、9時から17時まで可能で、無休で開館しています。入場料は大人400円、子供200円です。特に花の季節には、多くの観光客が訪れ、四季折々の自然美を楽しむことができます。