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夙川公園(河川敷緑地)

(しゅくがわ こうえん かせんじき りょくち)

夙川河川敷緑地は、兵庫県西宮市に位置する美しい公園で、通称「夙川公園」として親しまれています。正式名称は「夙川河川敷緑地」で、地元住民や訪れる観光客にとっても欠かせない憩いの場となっています。

公園の概要

夙川公園は、西宮市を流れる夙川の河川敷沿いに広がる全長約4km、面積20.8haの公園緑地です。南は香櫨園浜の海岸部から北は銀水橋まで、街路として整備されており、美しい桜並木が続く桜の名所としても知られています。夙川沿いの道路は「夙川オアシスロード」と呼ばれ、四季折々の自然を楽しむことができます。

公園の歴史

開園の経緯

夙川公園は1937年(昭和12年)に竣工しました。当時の金額で約34万円を費やし、約5ヶ月の工期を経て完成したこの公園は、阪急甲陽線苦楽園口駅東側で盛大に竣工式が行われました。

大正から昭和初期にかけて、阪神地域では河川改修に伴う廃河川敷の売却処分が進み、神戸市の石屋川では古くからの松林が失われる事態が生じました。夙川でも宅地開発を目的とした廃河川敷の処分が進められようとしていましたが、西宮市と兵庫県は、この地域の風致を守るため、夙川の緑地保全に取り組みました。

都市計画と保全活動

1928年(昭和3年)から、西宮市は夙川両岸を公園として整備する都市計画を進め、3度にわたり兵庫県知事に上申しました。一方で、民間からは夙川の河川改修と国有地の無償払い下げを求める動きがありましたが、地方委員会と内務省は夙川の公園化を都市計画事業として進めることを決定しました。この結果、1932年(昭和7年)には夙川が都市計画道路(街路)として計画・事業決定されました。

工事の詳細と成果

夙川公園の整備事業は、1932年から1937年にかけて行われ、総事業費は最終的に34万7千8百97円に達しました。この工事では、まず水害防止が重視され、河川敷の幅員や護岸工事が進められました。また、松林をはじめとする既存樹林の保存や、散歩道の整備が行われ、自然と調和した美しい公園が誕生しました。

桜と花見の名所

桜の植樹と管理

1949年(昭和24年)、夙川公園には1,000本の桜の若木が植樹され、桜博士として知られる笹部新太郎の指導のもとで管理・育成が行われました。1990年(平成2年)には、「日本さくら名所100選」に選ばれ、多くの花見客が訪れる人気スポットとなりました。

花見の様子と規制

公園内には約1,700本の桜の木が植えられており、特に阪急夙川駅から苦楽園口駅にかけての区間では多くの花見客が訪れます。しかし、ゴミの不法投棄や景観を損ねるとの理由で、2012年から市によって露店の出店が禁止され、バーベキューなどの火気の使用も禁止されています。それでもシートを敷いて弁当を楽しむことは許可されており、桜の美しさを楽しむには最適な場所です。

公園内の橋と見どころ

公園に架かる橋

夙川公園には、銀水橋や越木岩橋、北夙川橋など、多くの橋が架かっています。これらの橋は、夙川の風景に溶け込み、公園全体に美しいアクセントを与えています。特に桜の季節には、橋から見る桜並木は格別な景色を提供します。

見どころとイベント

夙川公園の見どころは、臨港線から北夙川橋付近までの約2.7kmにわたって続く桜並木です。毎年4月初旬には「西宮さくら祭り」が開催され、桜めぐりやウォークラリーなどのイベントが行われ、多くの人々で賑わいます。

公園の保全と今後の課題

樹木伐採計画と地域の声

かつて市道拡張と立体交差化による県道の踏切渋滞解消を目的とした都市計画変更が立案されましたが、この計画では苦楽園口駅から甲陽園駅にかけての区間をトンネルに移設するため、夙川公園の樹木を数百本伐採する案が含まれていました。地域住民からの反対意見を受けて計画は変更され、樹木の伐採は回避されましたが、今後も引き続き地域住民との協力が求められています。

周辺施設と交通アクセス

夙川公園の周辺には、大手前大学さくら夙川キャンパスやカトリック夙川教会、旧山本家住宅など、歴史と文化が感じられる施設が点在しています。また、交通アクセスも良好で、阪急電鉄神戸線・甲陽線の夙川駅や苦楽園口駅、JR西日本東海道本線(JR神戸線)のさくら夙川駅などが利用可能です。

Information

名称
夙川公園(河川敷緑地)
(しゅくがわ こうえん かせんじき りょくち)

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