概要
東光寺は、あらゆる災厄を打ち払うとされる厄神明王(門戸厄神)で有名です。厄年にあたる年齢の方が厄払いのために参拝するほか、数えで13歳になる子どもが厄除けと学業成就を願って虚空蔵菩薩に詣でる「十三詣(じゅうさんまいり)」も行われています。また、初宮参り、交通安全祈願、護摩祈祷、人形供養などの行事も受け付けています。
寺院の歴史
東光寺の開創について、寺伝によれば以下のような経緯があります。天長6年(829年)、嵯峨天皇の41歳の厄年にあたり、弘法大師(空海)が厄除祈願を行いました。この際、嵯峨天皇は愛染明王と不動明王が一体となった「厄神明王」があらゆる厄を打ち払うという霊感を受け、空海にその祈願を命じました。
空海は、愛染明王と不動明王が一体となった厄神明王像(両頭愛染明王像)を三体刻み、高野山の天野大社、山城国の石清水八幡宮、そして門戸東光寺へ、それぞれ国家安泰、皇家安泰、国民安泰を願って勧請しました。しかし、現存するのは東光寺の像のみです。
行事とイベント
東光寺では、毎年1月18日・19日に「厄除大祭」が、2月3日に「星祭」が行われます。特に厄除大祭では、数多くの屋台が立ち並び、何万人もの参拝者で賑わいを見せます。
境内の施設
東光寺の境内には、以下のような多くの堂や社が配置されています。
薬師堂
本堂にあたる薬師堂では、本尊として薬師如来が祀られています。
厄神堂
厄神明王像を秘仏として祀っている厄神堂は、東光寺の中心的な建物です。
その他の施設
境内には他にも、高安稲荷社、奥の院、大黒堂・愛染堂(大黒天、愛染明王を祀る)、延命魂(高野山奥の院参道にあった霊木の杉根)、大師堂(弘法大師を祀る)、不動堂(護摩堂・不動明王を祀る)など、多くの重要な建物があります。
庭園と門
また、庭園や南門、北門、表門、中楼門などもあり、訪れる人々に静かな環境を提供しています。これらの施設の間には弘法大師像と四国八十八箇所石仏群が配置され、参拝者の心を癒します。
年中行事
東光寺では、年間を通じてさまざまな行事が行われます。以下は主な行事の一覧です。
主な行事
- 1月1日 新年祈祷会
- 1月18・19日 厄除大祭
- 2月3日 星祭(節分)
- 4月13日 十三詣
- 4月19日 春季厄除祭
- 8月19日 夏季厄除祭
- 10月19日 秋季厄除祭
- 11月15日 七五三詣
- 11月19日 人形供養
- 12月19日 納厄神(おさめやくじん)
さらに、毎月19日には厄神明王縁日にあたる「厄除例祭」が、また甲子(きのえね)の日には「大黒天例祭」も行われます。
前後の札所
東光寺は、西国薬師四十九霊場や西国愛染十七霊場、摂津国八十八箇所の札所の一つとしても位置付けられています。以下はその位置関係です。
西国薬師四十九霊場
19 昆陽寺 - 20 東光寺 - 21 花山院
西国愛染十七霊場
1 勝鬘院 - 2 東光寺 - 3 鏑射寺
摂津国八十八箇所
75 神呪寺 - 76 東光寺 - 77 法心寺
所在地とアクセス
東光寺の所在地は以下の通りです。
〒662-0828 兵庫県西宮市門戸西町2番26号
アクセスとしては、阪急今津線の「門戸厄神駅」で下車し、北西へ700mほど歩くと到着します。徒歩約15分です。また、1月の厄除大祭の際には、阪急伊丹から国道171号上の阪急門戸停留所まで、阪急バスの臨時路線が運行されることもあります(ただし、2016年以降は運行していません)。
門戸厄神東光寺が登場する作品
東光寺は文学作品にも登場します。例えば、『ソクラテス最期の弁明』(小峰元、講談社、1975年)では、この寺が描かれています。