概要
市立伊丹ミュージアムは、伊丹市が誇る文化と歴史を広く紹介する施設として、多くの訪問者を迎え入れています。このミュージアムは、19世紀フランスを代表する作家オノレ・ドーミエの2,000点を超えるコレクションを中心に、風刺と笑いをテーマにしたヨーロッパの絵画や版画、さらには近現代の画家の作品を収集・研究・展示しています。
再オープンの背景
2022年4月、もともとこの地にあった柿衞文庫、伊丹市立美術館、伊丹市立工芸センター、伊丹市立伊丹郷町館に、市役所隣にあった伊丹市立博物館の機能を統合し、新たに市立伊丹ミュージアムとして再オープンしました。この統合により、文化資産が一堂に会し、より充実した展示やイベントが実現されました。
主な展示内容と所蔵品
オノレ・ドーミエのコレクション
市立伊丹ミュージアムの中心的な展示は、オノレ・ドーミエの作品群です。彼の代表作である「ドン・キホーテとサンチョ・パンサ」(油彩)や「ラタポワール」(彫刻)など、風刺画家としてのドーミエの作品を通じて、19世紀フランスの社会風刺文化を感じることができます。
その他の所蔵品
このミュージアムには、ジェイムズ・ギルレイやウィリアム・ホガース、フランシスコ・デ・ゴヤなど、ヨーロッパの風刺画家の作品も多く所蔵されています。例えば、ギルレイの「プラムプディング、危うし」(エッチング)や、ホガースの「放蕩者一代記」(エッチング)などが展示されています。また、ゴヤの連作版画「戦争の惨禍」や、近代の画家ジェイムズ・アンソールの「キリストの誘惑」(油彩)なども所蔵されています。
ジョルジュ・ビゴーの作品
さらに、市立伊丹ミュージアムは、明治初期に日本で活躍したフランスの風刺画家ジョルジュ・ビゴーの版画作品も多く所蔵しています。これらの作品は、日本の近代化過程を風刺的に描いたものであり、当時の社会背景を理解する上で貴重な資料となっています。
施設の特徴と建築概要
庭園と歴史的建造物
市立伊丹ミュージアムには、美しい庭園があり、その正面には旧石橋家住宅が配置されています。この庭園は、訪れる人々に静寂と安らぎを提供し、また、歴史的建造物との調和が美しい景観を生み出しています。
建築概要
このミュージアムの建物は、1987年に竣工し、伊丹市と坂倉建築研究所が設計を担当しました。延床面積は2,737.63平方メートルで、展示スペースやアートギャラリー、研究室などが配置されています。所在地は兵庫県伊丹市宮ノ前2丁目5番20号に位置し、交通アクセスも良好です。
交通アクセス
市立伊丹ミュージアムへのアクセスは非常に便利で、阪急伊丹駅から北東方向へ徒歩8分、JR西日本伊丹駅から北西方向へ徒歩8分の距離にあります。また、阪急バス(尼崎川西線)伊丹本町バス停からもすぐの場所に位置しており、公共交通機関を利用して訪れることが容易です。
周辺情報と観光スポット
市立伊丹ミュージアムの周辺には、多くの観光スポットが点在しています。旧岡田家住宅や旧石橋家住宅、ブルワリーミュージアムなど、歴史的価値の高い建造物があり、さらに、伊丹市立文化会館(いたみホール)や伊丹アイフォニックホールといった文化施設も徒歩圏内にあります。また、猪名野神社や旧大坂道(都市景観形成道)など、歴史的な散策スポットも多数存在し、訪問者にとって充実した一日を過ごすことができます。