昆陽池の歴史と概要
昆陽池は奈良時代、僧行基(668-749年)の指導の下で開削されたと伝えられています。1965年(昭和40年)に伊丹市が公園としての整備を開始し、1972年(昭和47年)に昆陽池公園として正式に開園されました。1982年(昭和57年)には、ほぼ現在の形となり、多くの市民に親しまれる都市公園へと発展しました。
また、昆陽池は2010年(平成22年)3月25日に農林水産省のため池百選に選定されました。この公園は、四季折々の自然の美しさを楽しむことができるだけでなく、冬には渡り鳥が集まる関西屈指の野鳥の楽園としても知られています。
野鳥の楽園としての昆陽池
昆陽池では、白鳥が自然に放養されており、冬になると3000羽を超えるカモやカモメなどの渡り鳥が飛来します。市民の憩いの場として、昆陽池公園では樹木や水生植物の植栽、野鳥の給餌池の設置など、ビオトープ整備が進んでいます。
しかし、近年では、池の周囲に植林されている樹木に営巣するカワウの糞に含まれるリンによる樹木被害や、急増するカラスの群れ、野生化したヌートリアによる樹木の根の被害が問題となっています。
鳥インフルエンザによる影響
2017年(平成29年)1月、池で飼育されているコブハクチョウが鳥インフルエンザに感染し、多数が死亡しました。この事態は、伊丹市のシンボルであるコブハクチョウの生態に深刻な影響を与えました。
野鳥の島
昆陽池の中ほどには、「野鳥の島」と呼ばれる人工島があります。この島は、日本列島を模しており、実寸の4000万分の1、東西約250mのスケールで再現されています。この人工島は、1973年(昭和48年)に伊丹市役所の職員が「地域のランドマークに」との趣旨で発案し、造営されました。
また、公園の東にある大阪国際空港を離陸した飛行機からも、その形を間近に見ることができます。しかし、2006年(平成18年)には、島に上陸するカワウが増えすぎて糞害が発生し、島内の樹木がほとんど枯死してしまいました。そのため、現在では定期的にボランティアを募り、植樹や剪定を行い、環境の維持に努めています。
公園の施設
伊丹市昆虫館
1990年に開館した伊丹市昆虫館は、チョウ温室としては関西一の広さを誇り、一年中さまざまな種類のチョウを観察することができます。
ふるさと小径
自然の中を歩きながら、四季折々の風景を楽しむことができる遊歩道です。
多目的広場と草生地広場
広々とした空間が広がる多目的広場や草生地広場では、さまざまなアクティビティが楽しめます。
野鳥観察橋
カモ類やユリカモメなどの野鳥を観察するためのスポットです。
その他の施設
公園内には売店や、隣接する「スワンホール(伊丹市立労働福祉会館・青少年センター)」もあり、宿泊施設やレストランが備わっています。
アクセス情報
所在地: 兵庫県伊丹市昆陽池3丁目
開園時間: 常時(ふるさと小径は午前9時~午後5時)
休園日: 年中無休
交通アクセス
JR宝塚線伊丹駅から: 伊丹市バスで「松ヶ丘」または「昆陽池公園前」下車(約20分)