寺院の概要
長遠寺は、兵庫県尼崎市に所在し、その歴史は1350年(観応元年)に遡ります。当時、永存院日恩により七ツ松の地で創建され、その後、風呂辻町・辰巳(巽)・市庭(市場)など、現在の東本町の地へ移転したと伝えられています。寺院は風呂辻町の南側に位置していたと推定され、西側には当時の尼崎の中心地で賑わった市庭が広がっていました。寺には七堂伽藍と16の子坊が存在していたと伝えられ、当初は「法花寺」と呼ばれていましたが、1617年(元和3年)の尼崎城築城に伴い現在の地に移転し、「長遠寺」と改名されました。
文化財
重要文化財(国指定)
本堂 ― 元和9年(1623年)に建立され、桁行五間、梁間六間の入母屋造で、本瓦葺の建物です。
多宝塔 ― 慶長12年(1607年)に建立された、方三間2層の本瓦葺の建物で、内部には釈迦如来像が安置されています。高さは15.4メートルあり、1960年に大修理が行われました。
兵庫県指定有形文化財
鐘楼 ― 1627年に建立された鐘楼。
客殿 ― 1611年に建立されたもので、桁行七間半、梁間五間半の入母屋造、平入りで、本瓦葺の建物です。
庫裏 ― 1668年に建立された庫裏で、桁行七間、梁間六間の切妻造、本瓦葺の建物です。
尼崎市指定文化財
絹本著色涅槃図 ― 1565年に描かれた涅槃図です。
紙本着色日蓮大聖人註画讃 ― 1536年に描かれた日蓮大聖人の肖像画。
至徳二年鰐口 ― 1385年に製作された銅製の鰐口で、径31.0cm、下端厚8.4cm、中央厚14.4cmのサイズです。
嘉吉元年鰐口 ― 1441年に製作された銅製の鰐口で、径24.6cm、下端厚6.5cm、中央厚11.2cmのサイズです。
天文六年鰐口 ― 1538年に製作された銅製の鰐口で、径27.8cm、下端厚6.2cm、中央厚11.2cmのサイズです。
雲版 ― 南北朝時代に製作された銅製の雲版で、上下47.3cm、左右45.2cm、厚さ撞座1.3cm、表面0.8cmのサイズです。
旧末寺
日蓮宗は昭和16年に本末制度を解体しましたが、現在でも「旧本山」「旧末寺」として伝統が継承されています。以下は長遠寺の旧末寺の一覧です。
中正院(尼崎市寺町)
中正院は、尼崎市寺町にある塔頭です。
覺智山本妙院(神戸市中央区野崎通)
本妙院は神戸市中央区野崎通に位置する寺院です。
三光山法泉院(丹波市山南町大河)
法泉院は丹波市山南町大河にある寺院です。
所在地とアクセス
所在地: 〒660-0867 兵庫県尼崎市寺町10
交通アクセス: 阪神本線 尼崎駅から徒歩6分で到着します。