福住の町並みと保存活動
宿場町としての歴史
福住は、江戸時代には京都へ向かう西京街道沿いの宿場町として栄えました。特に参勤交代の道として多くの人々が行き交い、その名残は現在でも町並みに見られます。造り酒屋や呉服屋、醤油店などが点在し、当時の宿場町の面影を今に伝えています。
平成24年12月、福住の町並みは国の重要伝統的建造物保存地区に選定されました。それに先立ち、平成13年度には兵庫県による景観形成地区指定調査が行われ、町並みや周囲の自然環境が良好に保存されていることが確認されました。住民参加による「まちづくり勉強会」や「まち歩き」などを通じて、福住の町並み保存に対する住民の理解と意識が深まり、保存活動が進展しました。
歴史的背景と保存地区の選定
選定の経緯と登録名の変更
福住地区は、平成24年12月28日に篠山市福住として重要伝統的建造物群保存地区に選定されました。その後、2019年(令和元年)5月1日に篠山市が丹波篠山市へ改称されたため、保存地区の登録名も「丹波篠山市福住」に変更されました。福住地区は兵庫県丹波篠山市東部に位置し、京都府や大阪府の県境にも近く、歴史的に重要な役割を果たしてきました。
町並みの特色と保存地区の範囲
福住地区は、篠山城の城下町から京都へ向かう西京街道沿いに位置し、福住、川原、安口、西野々の4つの集落から構成されています。福住は宿場町として整備され、明治以降も地域の中心として栄えました。川原、安口、西野々の各集落は、福住の宿場町機能を補完する役割を果たしていました。
保存地区の範囲は、東西約3,260メートル、南北約460メートルにわたり、総面積は約25.2ヘクタールに及びます。西京街道に沿って、籾井川南岸に福住、川原、安口、西野々の各集落が形成されており、これらの集落は籾井川に直交する谷口に位置しています。周辺には広大な田園が広がり、谷奥の溜池から籾井川へ水路が設けられ、灌漑施設として利用されています。
町並みと建造物の特徴
宿場町と農村集落の融合
福住地区では、宿場町特有の妻入りの中二階建切妻造りで漆喰塗り込めの建物が立ち並び、町並みに軒庇が付いています。これに対し、川原、安口、西野々の集落では、平屋建茅葺の農家住宅が特徴的であり、宿場町と農村集落が西京街道沿いに連続して残されています。このように、異なる町並みが共存する景観が、周囲の田園や灌漑施設と一体となって、独自の歴史的風致を形成しています。
主な建造物と施設
福住地区には、宿場町のほぼ中央に本陣があり、また西端には脇本陣が配置されています。主屋は、つし二階建てや平屋建ての茅葺(現在は鉄板葺)で、瓦葺の建物も多く見られます。敷地内には、主屋のほかに離れや納屋、土蔵が建ち、塀で囲まれた敷地には門が構えられています。これらの建造物が一体となって、福住の町並みの特徴を形成しています。
また、福住地区には、歴史的に重要な施設も多く存在します。松本家の本陣跡や一里塚、重森三玲が作庭した住吉神社の住之江の庭、かつて国鉄篠山線の終点であった福住駅跡などがあり、これらも保存地区の重要な構成要素となっています。
アクセス情報
交通アクセス
丹波篠山市福住伝統的建造物群保存地区へのアクセスは、以下の通りです。舞鶴若狭自動車道丹南篠山口ICから車で約30分、京都縦貫自動車道亀岡ICから車で約40分、京丹波みずほICから車で約25分、新名神高速道路川西ICからは車で約45分の距離に位置しています。この保存地区は、車でのアクセスが便利で、訪れる際には周辺の観光スポットも併せて楽しむことができます。