白毫寺の概要
白毫寺は、兵庫県丹波市市島町に所在し、天台宗に属する由緒ある寺院です。その山号は五大山であり、寺の本尊は薬師瑠璃光如来です。この寺院は、特に藤棚の美しさで知られており、藤棚の長さが120メートルにも達する「九尺藤」は、毎年4月中旬から5月中旬にかけて見頃を迎えます。この時期には「九尺ふじまつり」が開催され、夜にはライトアップも行われるため、幻想的な風景が楽しめます。また、兵庫県観光局が選定した「私の好きな兵庫の風景100選」にも選ばれており、多くの人々に愛される場所です。
白毫寺の歴史
創建と発展
白毫寺の歴史は古く、705年(慶雲2年)に法道によって開基されたと伝えられています。本尊である薬師瑠璃光如来は、天竺からもたらされたとされています。また、慈覚がこの地を訪れた際、山並みが唐の五台山に似ていることから、山号を「五台山」と名付けたとされています。この寺院は、赤松貞範などの領主の庇護を受けて大いに発展し、丹波地方の名刹として知られるようになりました。しかし、戦火により一度焼失しましたが、天正年間(1573年-1592年)に再興されました。
江戸時代と近代の復興
江戸時代には、江戸幕府から朱印状が与えられ、寺院の威光は再び高まりました。しかし、明治維新後には諸塔頭が荒廃し、現在は主要な堂宇のみが残されています。寺院の歴史は長く、多くの困難を乗り越えてきましたが、現在でもその姿を保ち、多くの参拝者が訪れる場所となっています。
境内の見どころ
石門と山門
白毫寺の境内には、歴史的な建造物が多数存在します。まず、石門と山門が参拝者を迎えます。これらの門は、寺院の歴史と風格を象徴する重要な構造物です。
本堂と太鼓橋
本堂は寺院の中心に位置し、静かで厳かな雰囲気を醸し出しています。特に注目すべきは、心字池に掛かる太鼓橋です。この橋は、長さ5.2メートル、幅2.05メートル、高さ1.75メートルであり、さや堂と呼ばれる覆銅板葺の覆屋で覆われています。江戸時代中期の元禄年間に建造されたと推測されており、丹波市指定文化財に指定されています。
薬師堂とその他の見どころ
薬師堂には、秘仏である薬師瑠璃光如来が安置されています。また、境内には熊野権現社や寶篋印塔(赤松貞範の供養塔)など、歴史的な建造物や仏像が多数点在しています。特に、藤棚の「九尺藤」は圧巻で、春の季節には紫色の美しい藤の花が見事に咲き誇ります。
文化財
兵庫県指定有形文化財
白毫寺には、いくつかの重要な文化財が指定されています。その中でも特に重要なのが、石造寶篋印塔とその附属台石です。この宝篋印塔は1970年(昭和45年)に兵庫県指定有形文化財として指定されました。また、美術工芸品として五種鈴5口が1969年(昭和44年)に指定されています。
丹波市指定文化財
さらに、白毫寺には丹波市指定の文化財も多く存在します。例えば、太鼓橋は1979年(昭和54年)に丹波市指定文化財に指定されました。また、絵画作品として紙本著色両界曼荼羅図や絹本著色五大明王図が1968年(昭和43年)に市指定文化財となっています。これらの文化財は、寺院の長い歴史とその重要性を物語っています。
交通アクセス
白毫寺へのアクセスは、鉄道や自動車で簡単に行くことができます。最寄り駅はJR福知山線の「市島駅」で、そこからタクシーで約8分です。また、自動車を利用する場合、舞鶴若狭自動車道および北近畿豊岡自動車道の「春日IC/JCT」から福知山方面へ約10分の距離です。さらに、国道175号(水分れ街道)の「道の駅丹波おばあちゃんの里」から福知山方面へ車で約10分で到着します。
このように、白毫寺はその豊かな歴史と文化財、そして美しい藤棚で知られており、多くの観光客や参拝者が訪れる名刹です。四季折々の自然と歴史的建造物が織りなす風景を楽しみながら、静かなひとときを過ごすことができる場所です。